週一回の母とのキャッチボールは、夕飯の準備前、時間にして30分~40分間でした。
キャッチボールと言ってもボールを投げる事が私にとっての第一関門でした。
正座をしてボールを投げようとすると、上半身に力が入り、
ボールがなかなか手から離れない。
ボールが手から離れないとどうなるか。
ボールは地面をバウンドして母の方向へ。
一方は母は、私の投げたゴロを補給しすぐさまボールを私に投げ返す。
私は何度と無くボールを母へ投げ返そうとするが、同じ事の繰り返し。
キャッチボールを終わろうと最後に私が母に投げ返そうとしたその瞬間、
「あんたの肘は曲がっていて腕は完全に伸びきらない。
腕を使って投げるのではなく手を使って投げてみたら」と母は言いました。
腕ではなく手で投げる。それから私は考えた。
今までは肩から腕を大きく使ってボールを投げていた。
そうすると健常者より地面と肩の距離が短いため、どうしても投げた後、
ボールが地面に叩きつけられるようになる。しかも肘が曲がっているため、
ボールの方向が一定しない。
そうか!手首たけを使ってボールを投げようと思い立ちました。
先ずボールを握り、投げる方向に握ったボールを相手に見せながら
肘を耳の辺りまで上げる。
そして少し上体を後ろに反りながら手首を使ってボールを投げました。
まるで陸上競技の砲丸投げのような投げ方です。
するとどうでしょう。母に向かって投げたボールはグラブの手前で
ワンバウンドしましたが、母のグラブにボールがスッポリ収まりました。
何度やっても地面にボールを叩きつけていたのが嘘のようです。
40分はあっと言う間にすぎました。
その日は結局私のボールは直接母のグラブには届きませんでしたが、
自分の心の中にまた一つ自信の種が蒔かれた気がしました。
続く
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