夢華録 第29話 屈辱 あらすじ

 

 

 

怪我を押して東京とうけいに戻った顧千帆こせんはんは、簫謂しょういに出会った。

簫謂しょうい盼児ふんじとの結婚のことも盼児ふんじの過去も知っていた。

盼児ふんじの父趙謙ちょうけんは、民を救うため無断で出兵し朝議で言官げんかんに弾劾され処罰された。

当時の言官げんかん簫欽言しょうきんげんだった。

 

「未来の岳父が己の父の手で殺された。婚姻など結べるわけがない」

簫謂しょういはそう顧千帆こせんはんに言った。

簫謂しょういによれば、趙謙ちょうけんについての報告書を顧千帆こせんはんの机に置かせたのは簫欽言しょうきんげんだという。

 

それを聞いた顧千帆こせんはんは動揺した。

簫欽言しょうきんげん盼児ふんじとの結婚を許したはずだったからだ。

 

簫欽言しょうきんげんに情などなく、何でも計算ずくで利用するのだと簫謂しょういは追い打ちをかけるように言葉をつづけた。

簫謂しょういと別れた後も、顧千帆こせんはんの脳裏に簫謂しょういの言葉が響き続けた。

 

盼児ふんじ顧千帆こせんはんの無事を祈っていた。

 

倒れた顧千帆こせんはん皇城司こうじょうしで保護された。

容体は良くないが、数日で目覚めると医師は診断した。

 

招娣しょうていが来てから、引章いんしょうは心ここにあらずといった状態だった。

盼児ふんじと距離をおいてはどうかと沈如琢しんじょたくに言われた引章いんしょうは、口を挟まれたくなくて「他人は黙ってて」と言ってしまった。

その流れで、結婚についての話になった。

 

沈如琢しんじょたく引章いんしょうを正妻にするつもりだ。

そのためには官妓かんぎをやめた後、名家の養女となり嫁ぐ必要がある。

それには辞める方法も重要になる。

演奏会などで重臣の目に留まり教坊司きょうぼうしに働きかけてもらって楽妓がくぎをやめるのが自然だ。将来の幸せのために人付き合いしてほしいと言われ、引章いんしょうは承諾した。

 

明日、残りの600貫を支払う期日だが、盼児ふんじたちは陳廉ちんれんにも顧千帆こせんはんにも会えずにいた。600貫は用意できていない。

盼児ふんじ望月楼ぼうげつろうの店主に期限の延長を頼むことにした。

 

欧陽おうようは「夜宴図」を持って斉牧せいぼくに会った。

夜宴図に描かれた劉婉りゅうえんが宮中に入る前すでに薛闕せつけつの愛妾だったなら、皇帝を欺き皇后の位を奪った罪に問われると欧陽おうようは絵について説明した。

 

窮地に立った自分を宮観官きゅうかんがんの任から解き東京とうけいに戻してくれるなら土を食えと言われても動じない。

欧陽おうようが言うと、斉牧せいぼくは「味見するか?」と言って盆栽を指さした。

欧陽おうようは盆栽の土を食べた。

 

斉牧せいぼくは、”明日も欧陽おうよう副使に対し授爵を拒むつもりなら別の抱一ほういつ仙師にすげ替える”という言葉を抱一ほういつ仙師に伝えさせた。

 

盼児ふんじは期限延長の交渉をしたが、望月楼ぼうげつろうの店主は延長を認めなかった。

支払期日に間に合わなくて契約解除する場合、手付金の半分(300貫)は払い戻されることになる。

店主は1年かけて300貫払うと言った。

証文に手付金返還期限は書かれておらず、訴えても勝ち目はないと店主は言った。杜長風とちょうふうに相談すると、杜長風とちょうふうはその通りだと話し謝罪した。

そして立会人の自分にも責任はあるので300貫ならば用意できると話した。

 

盼児ふんじ池蟠ちはんを頼ることに決め会いに行った。

 

池蟠ちはんは、顧千帆こせんはんに飽きられ捨てられたのだろうと言ったが盼児ふんじは耐えた。

そして叩頭すれば300貫貸すという池蟠ちはんに叩頭した。

 

しかし池蟠ちはんは誠意がないと言って、次は「想夫憐そうふれん」を歌うよう言った。

盼児ふんじは代わりに軟舞なんぶを舞うと言って舞い始めた。

それは若妻が出征した夫を想う舞だった。

 

何四かしたちは拍手喝采し、池蟠ちはんは口を開けて見とれていた。

 

池蟠ちはんは300貫を貸す担保として顧千帆こせんはんからもらった珊瑚の簪を求めた。

盼児ふんじが簪を差し出すと、池蟠ちはん顧千帆こせんはんに捨てられたなら自分の女になればいいと持ち掛けた。

 

盼児ふんじ池蟠ちはんに平手打ちを食らわせ、「この趙盼児ちょうふんじ、いつの日か今日の屈辱を晴らす」と宣言し立ち去った。

池蟠ちはんは「痛い」と言って何四かしの胸で泣いた。

 

 

 

 

感想

 

はいはいはいはい、そういうことだったんですね。

盼児ふんじの父・趙謙ちょうけんが処罰されることになったのは当時言官げんかんだった簫欽言しょうきんげんがチクったから。

顧千帆こせんはんはそれを知っていたから後ろめたくて盼児ふんじに会えなかったんですね。

 

思っていたよりもすごく深刻な状況でした。

趙謙ちょうけんは民のためを思って封鎖令を解きましたが、封鎖令を解いたことは朝廷の命令違反だった。

簫欽言しょうきんげんは命令違反をした趙謙ちょうけんを告発した。

 

趙謙ちょうけんは民を愛し文武両道に秀でて有能だった。

民のために趙謙ちょうけんめいを破りりょうとの和議をフイにした。

簫欽言しょうきんげんは法に基づき弾劾しただけ。

 

深刻な状況は深刻な状況ですが、これはちゃんと話せば盼児ふんじは理解できる案件ではないでしょうか?

趙謙ちょうけんを殺したのは誰か、と考えた時に必ずしも簫欽言しょうきんげんではないと思うのです。

 

趙謙ちょうけんが民のためとはいえ命を破ったのは事実。

簫欽言しょうきんげんはただそのことを弾劾しただけ。

弾劾されても庇う人の方が多ければ趙謙ちょうけんは助かったはず。

趙謙ちょうけんが重罪に問われたのは、罰する方に賛成する人が多かったから。

だと思うんです。

なので本当の敵は趙謙ちょうけんを重罪に問う方に賛成した人たち、派閥ではないかと。(ここにも簫欽言しょうきんげんが入ってきそうな気がしないでもないですがっ。)

 

あるいは、趙謙ちょうけんは民のために命を捨てた。

そう考えるのが綺麗かもしれません。

家族にとっては綺麗も何もなくてお父さんが死んでしまって自分たちは奴婢にされてただ悲しいだけですが。

でもでもそう考えれば顧千帆こせんはんとロミジュリみたいな関係にならなくて済むはずです。

 

とにかく、盼児ふんじは頭がよく理解力のある女性なので、顧千帆こせんはん盼児ふんじに話してみるのがいいと思います。

早く目を覚まして、心の中のことを全部盼児ふんじに打ち明けて、「3000貫渡したよね?」って言ってあげてくれませんか?

ホント、よろしくお願いします。

あの紙どうなったんでしょう。

盼児ふんじの部屋に紙に挟まって今も置いてあるんでしょうか。

あの紙のことが気になって気が気じゃありません。

 

たとえ盼児ふんじがお父さんのことを理解してくれたとしても、顧千帆こせんはんには懸念事項があるのでした。

簫欽言しょうきんげん顧千帆こせんはんには盼児ふんじとのことを許したように言っていたのに実際は裏で暗躍していたのか、という問題。

 

簫謂しょういは、全部簫欽言しょうきんげんが計算ずくで動いているんだって言っていましたが、本当のところどうなんでしょうか。

 

顧千帆こせんはん簫欽言しょうきんげんを信じていたようですし、視聴者的にも信じていたんですけど…。

26話では盼児ふんじとのことを許すみたいなことを言っていましたよね…?

 

ってことで見返してみました。

盼児ふんじ顧千帆こせんはんの命を救ったので「今はそうする(結婚を許す)しかない」と発言してました。

簫欽言しょうきんげんが暗躍したのかなぁ。

いずれにせよ簫謂しょうい顧千帆こせんはん盼児ふんじのことを知ったのは、26話での簫欽言しょうきんげんとく氏の話を盗み聞きしていたからなのは間違いないと思います。

 

欧陽おうよう斉牧せいぼくとタッグを組みました。

土を食べた欧陽おうようが、「骨を1本抜かれたが、わずかな痛みだ」と言って犬の鳴きまねをしていたのが怖かったです。

探花たんかにまでなって昇進欲の強い欧陽おうようですから、プライドだって高いはず。

それなのに宮観官きゅうかんがんになって蔑まれて、今回は土を食べて…。

尊厳を傷つけられて、こうやって人は壊れて行ってしまうんじゃないかって怖かったです。

 

「屈辱」とういタイトルを見た時、すごく怖かったです。盼児ふんじが屈辱的な思いをするんじゃないかって。実際は、今回欧陽おうよう盼児ふんじが屈辱的な思いを味わっていました。

 

欧陽おうようのは怖かったですが、盼児ふんじのはちょっとカッコよかったです。

特に池蟠ちはんに平手打ちをして「この趙盼児ちょうふんじ、いつの日か今日の屈辱を晴らす」と啖呵を切った場面、カッコよかった。

 

まさかこんなに顧千帆こせんはんと会えないとは思ってなかったので、残りのお金が用意できない流れになるとは思っていませんでした。

でも杜長風とちょうふうから300貫、池蟠ちはんから300貫で無事に解決しそう!?

 

とりあえず登場人物皆で椅子を持ち寄って輪になって向き合って、1人ずつ自分の心を打ち明けてみてはどうでしょうか?

それで解決することもありそうな気がしました。