赤い袖先 第9話 恐れを知らぬ宮女 あらすじ

 

 

 

 

ドギムもサンの背に腕を回し2人抱き合い、見つめ合った。 

ふと我に返ったドギムは慌て、話をそらすように目についた凧について尋ねた。 

庭にはそれぞれ違った模様が描かれた凧が多数飾られていたのだ。

 

サンは戦の時に使う信号凧シノヨンだと教えた。サンを守るために自分も覚えたいとドギムが言うと、サンは全部覚えるよう命じた。

 

ドギムが自分を盾にするよう言うと、サンはドギムの前に立ち話をした。 

暎嬪ヨンビンに会いに行き出会った日から、サンは少女のことが恋しく、探そうと思ったけれど探さなかった。

サンには少女を守るだけの力がなかったからだ。

けれど今、サンは力を得た。サンはドギムに自分はどうすべきか尋ねた。 

ドギムは あの日の出会いは単なる偶然で、あの出会いには何の意味もないと答えた。

 

王様はサンに陵幸ヌンヘン(歴代王の御陵に王が参ること)を命じた。 

サンがこの機会に民の様子を見て来たいというと、王様はサンを褒め虎符ホブ守御庁スオチョンの兵を動かすための札)を渡した。

 

提調チェジョ尚宮サングンは配下に、王様をの寵愛を失った翁主オンジュに貢ぐのを止めるよう指示を出した。 

そこに左議政チャイジョンが罷免され、サンが代理聴政テリチョンジョン(王の務めの代行)に任じられたという報告が届いた。

 

ドギムは友人がホン・ドンノへの想いを話すのを聞いて、誰かを心から慕うというのはどんな感情だろうと考えた。

 

陵幸ヌンヘンの先発隊は、行宮ヘングンに到着した。

ドギムをはじめ宮女たちは荒れ果てた行宮ヘングンの掃除に取り掛かった。

 

尚宮サングンは壊れた温突オンドルの代わりにドギムが世孫の布団を温めるよう命じた。 

絶対に寝ないよう命じられたドギムだが、布団に入るとすぐに寝てしまった。

 

民の訴えを聞いてきたサンは、幼い娘たちが宮仕えを餌にさらわれ続けているという訴えを聞き怒っていた。

20年で100人以上が行方不明になっているという。 

 

ホン・ドンノは即位するまでこの件には関わらぬよう進言した。

代理聴政テリチョンジョンになったものの軍政と刑政は王様が握っており、サン1人では事件を解決できず政敵に非難の口実を与えかねないからだ。 

しかしサンは放置できない重大事だとして、王宮に帰り次第調査するよう命じた。

 

サンは用意された部屋に行き、自分の布団でドギムが寝ているのを見つけ、ドギムの寝顔を堪能した。

 

「亥の刻(午後10時ごろ)」と書かれた密書を受け取った宮女たちは、計画を実行に移し始めた。

 

目覚めたドギムは慌てて布団から出てソ尚宮サングンに合流した。 

ウォレは役所に行き食料を分けてもらうようソ尚宮サングンに言い、ソ尚宮サングンはドギムと共に出かけた。ドギムは見習いのウォレの方が、ソ尚宮サングンよりも偉そうにふるまっていたことを不思議に思った。

 

行宮ヘングンでは、ウォレらが武器庫の武器や火薬を始末した。

 

道中、ソ尚宮サングンはドギムに広寒宮クァンハングンのことを話した。

広寒宮クァンハングンという宮女の秘密組織があり、長は提調チェジョ尚宮サングンだと。 広寒宮クァンハングンはもともと宮女を守る組織だったが、次第に力が強大になり目的のためなら王さえ変える恐ろしい組織になったという。

 ソ尚宮サングンは、連判状に手判を押したことをドギムに告白した。 

ドギムはソ尚宮サングンを守ることを約束した。

 

途中で出会った子供たちが持っている巾着を見て、2人は顔色を変えどこで拾ったのか聞いた。 その巾着は火薬保管用の巾着だったのだ。 

子供たちが示した川には、巾着が無数に流されていた。

 

尚宮サングンは謀反だと気づいたが、戻っても間に合わない。 

ドギムは子供たちから凧をもらうと、そこに模様を描き空高く揚げた。模様の意味は、“敵が現れたゆえ交戦せよ”だ。

 

サンは凧を見て武器庫に行ったが、武器は始末されていた。 

残った弓は5本、兵は50人に満たない。 

サンはホン・ドンノに虎符ホブを渡し守御庁スオチョンを連れてくるよう命じた。

 

ついに広寒宮クァンハングン世孫セソンの戦いが始まった。 第1陣の賊をあらかた片付け、敵の援軍が押し寄せてきた時、ホン・ドンノが守御庁スオチョンの兵を連れてきて戦いは終わった。

 

走ってこちらに向かうフラフラなドギムを見つけたサンは、ドギムを出迎え支えた。 

ドギムは信号凧シノヨンを見たか尋ね、サンが見たというと微笑んだ。 

疲れ果てたドギムは、サンの腕の中で眠ってしまった。 

 

サンは眠るドギムに、死ぬかもしれないと思った時、会いたい、もう一度顔を見たいと思った相手はドギムだったのだと話した。

 

 

 

 

 

 

感想

 

前話で広寒宮クァンハングンという悪魔崇拝のような教団が宮中にあると知り驚いていたところでしたが、今回はその広寒宮クァンハングンが謀反を企て武闘派な一面を見せ、さらに驚かせてくれました。

 

ウォレさんは7話で3人の男をいとも簡単に殺していましたが、広寒宮クァンハングンにはウォレさんのような訓練された刺客が大量にいたようです。 

いったいどこで訓練しているんだ!? 皆さん宮女ということは、ドギムのように子供のころから宮中で育ったんですよね!?

 

武器を使用不可にし、宮女と言う立場を使っての謀反はカッコイイなぁと思いました。 

戦える女性、カッコイイです(広寒宮クァンハングンは怖いですがっ)。

 

ドギムが機転を利かせて信号凧シノヨンを揚げていなかったら、きっとサンは気づかず油断していたでしょうから もっとうまく謀反は進んでいたはずで、もしかしたら成功していたかもしれませんよね。

 王を挿げ替える力を持つと言われるのも納得の手際の良さでした。

 

広寒宮クァンハングンが謀反を実行に移すことに決めた決定打は、サンが代理聴政テリチョンジョンになったことと、そのタイミングでサンが王宮を離れたことでした。 

そして、その情報を届けたのは淑儀スギ様と呼ばれる女性でした。 

淑儀スギというのは側室の称号の1つだそうです。 淑儀スギ様が1話でサンを陥れようとしていたのを覚えています。

 

この淑儀スギ様も、広寒宮クァンハングンの一員で提調チェジョ尚宮サングンの手下のようでした。 

…ということは、淑儀スギ様は元宮女から側室になった人物。

  提調チェジョ尚宮サングンはドギムをサンの側室にして情報を流させ700人の宮女を守ろうと画策していました。 

この淑儀スギ様はドギムの先輩(ドギムが実験体2号だとしたら、淑儀スギ様は実験体1号[成功例])だと思われます。

 

 提調チェジョ尚宮サングン淑儀スギ様を通して王様情報を手に入れているわけですね。

王様の側室になっても提調チェジョ尚宮サングンに使われ続ける。

提調チェジョ尚宮サングンはドギムの弱みを掴もうとしてドギムの部屋を捜索させていました。

幸いドギムは切り抜けましたが、淑儀スギ様は弱みを握られているのでしょう。

 

提調チェジョ尚宮サングン淑儀スギ様を王様の側室にすることに成功し、ドギムとサンも思惑通り仲を深めています。

それなのに自分自身は王様に選ばれなかったというのは、皮肉ですね。

そのことがあったから、その悔しい思いをバネに今まで暗躍してこれたわけですが、提調チェジョ尚宮サングンの私怨に加担させられ謀反に加わってしまった広寒宮クァンハングンの宮女たちはたまったものではありません。

単なる私怨を“乱心した世子セジャの息子は王になるべきではない”という大義名分にすり替える提調チェジョ尚宮サングンの話術が怖いです。

 

謀反を起こした宮女たちは黒幕の名を言いませんでしたが、宮女を使えて密輸品の銃を手に入れられる人物だとサンは絞り込みました。 

サンが提調チェジョ尚宮サングンにたどり着くのも遠くない…かも!? 

 

提調チェジョ尚宮サングンは、和緩ファワン翁主オンジュの前では優しく甘い言葉ばかり言い、裏では翁主オンジュを切ろうとする冷酷な顔を見せました。

 

裏表をきっちり使い分ける方なので、なかなか尻尾を見せないかもですね。手ごわそうです。

 

裏表使い分けられる提調チェジョ尚宮サングン、すごいなぁと書こうと思ったのですが、案外これができる方は多い…という気も。 

 

ここからは脱線なのですが、 私は学生時代、放課後教室に残るのが嫌いで、終業の挨拶の後はすぐに荷物をまとめて部活に行くか帰るようにしていました。 

その理由というのが中学生の時の友人にあります。 

ある日、部活の後みんなで残っておしゃべりをしていました。 

そのうち、1人が「先に帰るねー」と帰ります。 

すると、その帰った子の悪口大会が始まりました。 

直前まで仲良くお話ししてたのに、急に悪口の大合唱。 

5,6人での悪口合唱コンクールが開催されました。 

 

そしてまた1人が帰りました。 

そしたら次はその子の悪口大会が始まりました。 

“帰りたい。でも帰ったらヤられる(悪口言われる)”と思うと帰ることもできず、ものすごーく居心地の悪い思いをしました。 

それ以来、残って誰かと話をするのはやめました。怖いので。

 

…つまり何が言いたいかというと、この世には提調チェジョ尚宮サングン予備軍のような方は結構多いのかもしれないということです。 

裏表の使い分けを上手にできる方。 

 

ドギムとサンの恋の行方は、今回もいい感じでした! 

子供のころであった少女をずっと探していて、力さえあれば守りたかったというサンに、ドギムは冷たくただの偶然で出会っただけだと返しました。 

 

けれど、本当にドギムがあの出会いを少しも特別に感じていないなら、男の子の名前を覚えているだろうか?という疑問があります。 

普通、1度しか会ったことのない人の名前は、数時間後ですら覚えていられません。(私だけ?) 

だからドギムにとってもサンとの出会いは特別だったはずです。 

 

それなのにドギムがああいった理由は、サンに恋してほしくないから? 

なぜなんだ?なぜ受け入れないんだ?ドギム!?

 

 そんな風に特別に扱われると冷たくするドギムですが、宮女としての忠誠心からなら命懸けでサンを守ります。

 信号凧シノヨンを揚げ、サンが見ていなかった場合に備え走り通しで行宮ヘングンに戻りました。 

 

今回、良い場面がたくさんあったので選び難いですが、一番好きだったのは、眠るドギムを見つめるサンです。 

緊迫シーンの前に笑わせてくれて、ほっこりしました。 

左翊衛チャイグィは今回もコメディーシーンでいい味出してましたね。

 

前回、広寒宮クァンハングンの一員となってしまったソ尚宮サングン

提調チェジョ尚宮サングンからはドギムも仲間に入れるよう示唆されていました。 

 

そんなタイミングでソ尚宮サングンがドギムに広寒宮クァンハングンの話を始めたので、“もしや勧誘か!?”と少しだけ警戒しました。 

けれど広寒宮クァンハングンは恐ろしい組織だと教え、拒めず加入してしまったことを正直に告白しました。 

尚宮サングンの対応に師弟愛を感じて、安心しました。 

ドギムが勧誘されなくてよかったです。ソ尚宮サングンを助けてあげてほしいです。