斛珠夫人~真珠の涙~ 第30話 愛する人の幸せ あらすじ

 

 

 

 

皇帝・褚仲旭ちょちゅうきょく方諸ほうしょは偽の褚琳琅ちょりんろうを捕らえ尋問した。

 

彼女の正体は聶妃じょうひの実弟の娘・聶若菱じょうじゃくりょう褚琳琅ちょりんろうとは従兄弟同士の関係なので容姿が似ていたのだ。

 

聶若菱じょうじゃくりょうの父は王に追従したため一族は皆殺しになっている。

 

蘇鳴そめいを利用し皇帝に復讐しようとしたのだと聶若菱じょうじゃくりょうは話した。

 

皇帝が首謀者の名を言うよう問い詰めると、聶若菱じょうじゃくりょうは自害した。

 

少府監(百工技巧の政令を司る機関。綾錦司りょうきんしに布を届けていた)から逃げ出そうとする者があり、卓英たくえいは捕らえた。

 

捕らえられたさい太監たいかんは今回の事件への加担を認めた。

 

 

海市かいし周幼度しゅうようど会仙楼かいせんろうで酒を飲んでいた。

 

命懸けで張英年ちょうえいねん聶若菱じょうじゃくりょうの命を守った。

それなのに聶若菱じょうじゃくりょうは自害してしまった。海市かいしは愛があっても志は捨てられないのか、と問いかけた。

 

周幼度しゅうようどは、孤高の人は常人にはない覚悟を持っているのだと話した。海市は方諸ほうしょのことを思い描いている様子だ。

 

周幼度しゅうようどが窓の外に目を向けると、雨の中方諸ほうしょが傘を差し海市かいしを待っていた。海市かいしの席からは方諸ほうしょの姿は見えない。

 

歩けないほど酔い、周幼度しゅうようどに介抱されながら出てきた海市を方諸ほうしょは連れ帰った。

 

方諸ほうしょは酔って絡む海市に、皇帝と同じように守ると言った。

 

海市かいしを寝台に寝かせ、自室に帰った方諸ほうしょは倒れた。毒に中っていたのだ。

 

海市かいしは侍医から、このまま無理を続ければ方諸ほうしょは数年で命を落としかねないと忠告を受けた。

 

3日後、方諸は目覚めた。

3日の間に方諸の部下たちが都に潜伏していた蘇鳴そめいの配下を捕らえ、方諸の名誉を回復した。

 

季昶きちょうは毒矢から皇帝を守るため身を挺してかばい、寝込んでいた。

侍医が毒を抜き、意識を取り戻した。

 

左菩敦さほとん奪洛だつらくは、蘇鳴そめい失敗の報告を受け、数日後に新たな動きを起こそうと決意した。

 

卓英たくえい綾錦司りょうきんしの一件はさい太監たいかんの仕業であると方諸ほうしょに報告したが、方諸はさい太監たいかんが簡単に罪を認めすぎであることを怪しみ、さらなる調査を命じた。

 

海市かいし方諸ほうしょに、どうして褚琳琅ちょりんろうが偽物だと気付いたのか尋ねた。

 

方諸ほうしょは密かに褚琳琅ちょりんろうの乳母りゅうさんに頼み、褚琳琅ちょりんろうが捨てた薬の煎じカスを手に入れていた。

そこから偽の褚琳琅ちょりんろうが、牡丹で喘息を起こすことが分かったからだと話した。

 

皇帝は緹蘭ていらん紫簪しさんとの思い出話を聞かせた。

紫簪しさんに怖いことはなかったという皇帝に、皇帝が苦しむことが紫簪は怖かったはずだと緹蘭は話した。

皇帝は紫簪しさんの死を受け入れ、紫簪の肖像画の飾られた部屋を片付けさせた。

 

周幼度しゅうようど方諸ほうしょを訪ね、自分の海市への気持ちを打ち明けた。周幼度しゅうようど海市かいしの気持ちも方諸の気持ちも分かっており、なぜ方諸ほうしょが海市を受け入れないのか尋ねた。

 

自分の命が短いからだと方諸ほうしょは言った。

 

たとえ短い期間でも愛する人と幸せな時間を過ごせたら人生に悔いはないはずだと周幼度しゅうようど方諸ほうしょを説得し帰っていった。

 

 

 

 

 

感想

 

褚琳琅ちょりんろうの正体はりゅうさんの娘ではないかと予想していましたが、全然違いました。

 

王の乱の際、褚琳琅ちょりんろうの一族は皆殺しにされており、その恨みから蘇鳴そめいに近づき利用したとのこと。

 

か弱い一般人が復讐の道具として育てられ利用されたのではなかったことが救いです。

 

 

陛下の飲んだ毒が師匠に行ってるはずだと予想していましたが、師匠は陛下と一緒に偽公主を尋問したり、海市を迎えに行ったりと普通に行動していたので、陛下は毒を飲んでいなかったのね、と納得しかけました。

 

そうしたら、師匠が倒れて海市の看病が始まりました。

 

師匠、毒を飲んだ状態で海市を雨の中待っていたなんて…。

海市は周幼度さんと会仙楼かいせんろうで飲んでいただけなので、わざわざ毒状態の師匠が待っている必要はなかった気がするのですが、待っていました。

 

これまでも師匠は傷ついた状態で無理をしてきましたが、今回が一番しなくていい無理だったのでは!?

 

今、思いつく傷を負った師匠が無理をする場面と言えば…

 

15話で刺された師匠が、16話にかけて夜通し馬を駆け黄泉関こうせんかんに向かった場面。

23話で街の子供に刺された師匠が、公務をつづけた場面。

 

15話~の場面は、鵠庫こくこと交戦中で、海市かいしが捕らえられたという緊急事態だったので、無理も仕方ないと思える部分がありました。

23話も、街で師匠を貶めるうわさが流れており、それの出どころを調べたり色々しなければならないことがあったと思うので、無理してしまったのも理解できます。

 

けれど、今回のは…。

海市が周幼度さんと酔っぱらって自力で帰ってこられないのを迎えに行くっていうのは、毒状態の師匠がやらなければならない緊急性がないと思うのですが!?

 

きっと、師匠にとっては緊急事態だったということなんでしょうね。つまり、それだけ海市のことが好きと。

 

自分の命は短いからと海市を突き放したのに、めちゃくちゃ執着してるのはちょっとズルいですよね。ズルい大人だなと思いました。

 

 

倒れた師匠の看病係である海市は、師匠の命があと数年かもしれないと侍医に言われてしまいました。

海市はどう思ったでしょうか?

 

師匠は周幼度さんから、自分の命が短いからと海市を受け入れないのは間違ってる!みたいな説得されていましたので、心が動いたかもしれません。

 

でも海市は?

師匠が自分を受け入れないのは、自分の命の短さを悟ってだと気付いたでしょうか?本当は師匠は海市のことが大好きだと気付いたでしょうか?

 

それとも、師匠の命が短いなら自分の気持ちを押し付けて師匠を煩わせるのはやめて、弟子として できる限り師匠に尽くそうと思っているでしょうか?

 

今回の海市の様子を見ていると、後者のように思ってそうで心配です。

師匠は周幼度さんのおかげで揺れてる今がチャンスだと思います。

ここで一押しすれば、敵は落とせると思うのです。

海市、頑張って!

 

あ、それか、師匠が頑張ってくれるのでもいいです。

師匠が弟子の立場で尽くそうとする海市を落とすのでもいいです。

(簡単に落ちそうですが)

 

今まで海市が押して押してで頑張っていたので、引いた海市を師匠がグイグイ攻めるというのも見てみたいなぁと思いました。

 

 

奪洛だつらくが数日後には行動を開始し、何らかの陰謀を企てているみたいなので、まだまだ師匠は気楽な日々を遅れそうにないようです。