斛珠夫人~真珠の涙~ 第19話 心のともし火 あらすじ

 

 

 

 

方諸ほうしょ天啓てんけいに帰り皇帝・褚仲旭ちょちゅうきょく蘇鳴そめいのことについて話し合った。

 

方諸ほうしょたちは蘇鳴そめいの残した痕跡をたどろうとしたが、蘇鳴そめいは綿密な計画のもと行動していたようで、痕跡は見つけられなかった。方諸ほうしょ蘇鳴そめいのことは時機を待ち、通常の業務に戻ることにした。

 

方諸ほうしょは医者から、このまま体を酷使し続けたら命を損なうのできちんと休養するよう言われ、医者の言葉に従った。

 

 

海市かいし蘭茲らんしを発ち黄泉関こうせんかんに到着した。

 

鵠庫こくこは右部・左部、両部とも大打撃を受けており数年攻撃はしてこないだろうという見通しが立ち、海市たちは冬の間 力を蓄えることになった。

 

 

緹蘭ていらんは毎日皇帝の所で、奏上文を読んだり返事を書いたりして過ごしていた。

 

もうすぐ恩月おんげつ節である。温暖な注輦ちゅうれんでは恩月節に灯籠を浮かべるが、寒い大徴たいちょうでは湖が凍ってしまう。その上宮中では灯籠を流すことが禁止されているので恩月節を楽しむことはできない。緹蘭の侍女たちはそんな話をしていた。

 

恩月節当日、緹蘭の侍女は宮中の湖の氷が溶け灯籠が浮かんでいるといううわさを聞きつけてきた。

 

緹蘭は好奇心に駆られ、湖に見に行った。噂のとおり氷の解けた湖の上に無数の灯籠が浮かんでいて緹蘭は美しさに息を飲んだ。そこに皇帝が現れた。これは皇帝が緹蘭のためにしたことだった。

 

緹蘭は体の冷えた皇帝にお粥を作り持っていき、一緒にお粥を食べた。皇帝は紫簪しさんの思い出話をし、これからは一緒に食事をしようと緹蘭に言った。

 

黄泉関こうせんかんの海市の所に、小包が届いた。方諸からのもので、中身は綺麗な小箱に入った飴だった。海市は蘭茲らんしでの功績が認められ、春になったら天啓てんけいに戻れることになった。

 

春、注輦ちゅうれんから使者がやって来た。注輦ちゅうれんでは水害がおき、難民が都に押し寄せ餓死者が出ている。そのため大徴たいちょうの支援を求めてきたのだ。

 

しかし皇帝は注輦ちゅうれんの使者を軽くあしらった。

 

皇帝によれば、注輦ちゅうれんが災害を口実に法外な支援を求めるのは毎年のことであるという。紫簪しさんが存命の頃、紫簪は支援する必要はないと言っていたが、褚仲旭ちょちゅうきょくは当時の皇帝に支援を願い出ていた。

 

皇帝にあしらわれた注輦ちゅうれんの死者は緹蘭ていらんに面会し、皇帝に支援を頼むよう求めた。

 

 

 

 

 

感想

 

 

今まで忙しく働き続けていたみなさんが やっと休めて、季節が冬から春に進みました。

 

そして、たぶん卓英兄上が初めて(?)師匠から心配してもらえた回でした。

 

解毒は済んだものの、鞠柘榴きくしゃりゅうの目は見えないままです。

師匠は七七さんの遺骨と一緒に故郷に帰るなら手配すると柘榴に言いましたが、柘榴は綾錦司りょうきんしを立て直すのだと言って残ることにしました。

 

兄上は雪の積もる綾錦司りょうきんしの屋根の上で泣きました。

師匠に心配してもらった兄上でしたが、柘榴のことは言わず蘇鳴を殺さなかったことを謝罪したのでした。

でも、師匠は気づいているかもしれないな、と思いました。

 

これまでの七七さんに対する対応を見ていて、師匠はものすごく鈍いのではないかと思い続けていたのですが、今回七七さんの遺骨の前で師匠は「そなたの命と共に恩讐も消えた」と言っていたのです。

 

このセリフによれば、七七さんの心に恨みの気持ちがあるって師匠が気付いていたようです。

 

それに師匠みたいな職業って、きっと色々気付ける人じゃないと務まらないですよね。

と、今さらながらに気づきました。

 

だから兄上が言葉にしなくても、兄上が何に苦しんでいるのか師匠は知っているのかもしれないと思いました。

 

いつもツヤツヤの兄上のお顔に今回は元気がない。いつも元気な人が元気じゃないのを見るのってこんなに辛いんですね。

 

春になって、海市が黄泉関を発ったという報せを届けに来た兄上の顔に笑顔があるのを見て嬉しかったです。

 

 

今回海市はあんまり出てこなかったのですが、師匠から宝石箱みたいなのが届いて”中身は何かな”とドキドキして待ってたら飴だったのは微笑ましかったです。

 

宝石みたいに綺麗な飴で、海市が嬉しそうに食べてたのがさらに良かったです。

 

 

緹蘭と陛下は急接近してしまいました。

陛下の前で疲れて寝てしまう緹蘭の顔に落書きをする陛下。

緹蘭のために凍った湖を溶かし灯籠を浮かべる陛下。

 

これまで陛下は緹蘭が紫簪の名前を出すと激昂していたのですが、今回は緹蘭に紫簪の思い出話を聞かせて、これから一緒にご飯を食べようと誘って。

 

最近は陛下の機嫌がいいそうです。

 

よかったね、穆徳慶ぼくとくけいさん。

今まで陛下の八つ当たりの被害者でしたが、緹蘭のおかげで陛下の機嫌がいいので穆徳慶ぼくとくけいさんも仕事がしやすそうです。

 

いつも心配顔だったり困惑顔だったり泣き顔だったりした穆徳慶さんの顔に笑顔があるというのは、見ているこちらも安心します。

 

これまでブラック企業だった職場が緹蘭のおかげでホワイトになったのなら、本当に喜ばしいことですね。

 

 

 

注輦はどうやら曲者な国のようです。

紫簪も緹蘭も注輦の要求を呑む必要がないと思っている。

 

けれど、今回使者に会った緹蘭は泣き腫らしたような目をしていたらしいという目撃証言が。

緹蘭は一体何を言われたのでしょうか。

気になります。