「すくらむ(住暮楽)」開店 2日間で来店100人越 木之本の古民家再生 | 近江毎夕新聞

「すくらむ(住暮楽)」開店 2日間で来店100人越 木之本の古民家再生

 長浜市木之本町木之本の地蔵坂通り沿いの古民家がこのほど、地域住民らが集うコミュニティースペースに改修され、「食×人×本のまちづくりBook cafeすくらむ(住暮楽)」として十八日にオープンした。
 同町を中心に活動する女性グループ「すくらむ(住暮楽)」=藤谷法子さん代表、十一人=がインターネットを活用した資金調達手法「クラウドファンディング」で改修資金を調達し、建築関係業者ら地域住民が協力して、中古の書籍や手芸・工芸品などを展示販売するブックカフェに再生したもので、オープンの十八、十九の両日、計百数十人が来店して賑わった。毎週土、日曜日と祝日の午前十時から午後四時までオープンし、料理自慢が一日限定で軽食を提供する「ワンディシェフ」も定期開催する。
 「すくらむ」は木之本町で活動する複数の女性グループが▽木之本の風情ある古民家から地元の食文化を発信する▽交流の場づくり▽本のある暮らしの提案―をテーマに、古民家改修経費をクラウドファンディングで集め目標額五十五万円を大きく上回る九十万円余りを集め、資金調達に成功。破損していた畳や窓ガラスなどを入れ替え、家屋の傷みを補修して下水道に接続するなど、築百年余りの古民家を再生させた。施工業者が趣旨に賛同して経費を切り詰めるなど協力。ファンド提供者や、協力者の指名を木札に記し店舗入り口に吊るすなどし、謝意を表した。
 屋内には書架が置かれ、文芸書やエッセイ本など古書四百冊余りを展示。カフェ利用者が読んだり購入できる。書籍は定期的に入れ替え予定で、初回は隔月刊の雑誌「暮しの手帖」の創刊時代から現在までの変遷を特集している。
 暮しの手帖は、外部広告を載せずに独自のポリシーで「普通の暮らしのすばらしさ」を追求し続ける稀有な雑誌。現在は休止しているが、名物記事だった電化製品などの比較テストは、辛らつ、正確な内容で、結果的に日本製品の品質向上に役立ったとされる。NHK連続テレビ小説「とと姉ちゃん」は暮しの手帖社の創業者・大橋鎭子と花森安治をモデルとした創作ドラマ。
 店内ではほかに、べんがら染めTシャツなど長浜市近隣の工芸作家作品や、米原市春照の文具店「佐々木文具」のオリジナル便箋などの販売コーナーを設けている。「ワンディシェフ」などの催事はインターネットのフェイスブックで紹介しているほか、JR木ノ本駅の観光案内所おかんに開催日、メニューなどの一覧を掲載している。
〔写真〕オープン2日間はオリジナルの「おにぎりプレート」が販売された