国友の画家にスポット 鉄砲の里資料館で国友敬三展 | 近江毎夕新聞

国友の画家にスポット 鉄砲の里資料館で国友敬三展

 長浜市国友町の鉄砲の里資料館は十三日から特別展「鉄砲の里・国友が生んだ画人―国友敬三」を開く。九十歳で生涯を閉じるまで国友町で独自の写実主義的描法の絵画創作を貫いた日本画家、国友敬三(一九〇二~一九九二)の作品四点を展示する。十二月三日まで。
 国友敬三は旧京都市立絵画専門学校(現・京都市立芸術大学)に学び、四条丸山派の画人、都路華香(つじ・かこう)に師事。卒業後、国友に戻り、同派の流れをくむ花鳥画などを制作し続けた。徹底した写実主義的描法で故郷の風物を描く一方、魔法瓶の外装装飾絵のためデザイン画を描いたり、パウル・クレー流の抽象画を描いた時期もあり、昭和二十年代後半以後は自らもたしなんだ能楽をテーマに役者や能面を描き、能人形の彩色なども手がけていたという。温厚な人柄で知られ、一人の画人の活動を支えた当時の地元住民の文化性の高さをうかがわせている。
 午前九時から午後五時まで。無休。入館料は三百円。小中学生百五十円。
 展示の一部は次の通り。
 ▽子守図(二曲一隻)=国友敬三の自宅前で、藤の乳母車に手をかける少女を描いた図。弟を子守する姉の姿と、ヨシ葺き民家や板の垣根など昭和中期ごろまで存在した国友の景観を今に伝えている。旧国友邸所蔵=写真。
 ▽干柿図=干し柿の吊るされた国友町の民家二階部分と通りを隔てた家屋二階部分を横幅一㍍六十八㌢、高さ約七十㌢のワイド画面に立体的な構図で描いた作品。構図の均整を保つ中央わずか右寄りの下部にネコを配し、絶妙の効果を生んでいる。旧国友邸所蔵。