駅頭に「白ポスト」設置 青少年センターが「有害図書類」回収 | 近江毎夕新聞

駅頭に「白ポスト」設置 青少年センターが「有害図書類」回収

 長浜、木之本の両青少年センターは二十五日に、JRの長浜、木之本両駅の東口前に「有害図書類」を回収する鋼板製の箱「白ポスト」(高さ一㍍二十㌢、幅四十五㌢、奥行き四十㌢)を設置した=写真。同センターでは今年度中に、乗降客が比較的多い市内のJR駅や公共施設など計七カ所に設置し、毎月一~二回、ボックス内の書籍、DVD類などを回収、基本的に焼却処分する方針。
 白ポストは、性や暴力を描いた書籍類が地方にも浸透し始めた一九五〇年代に、各地の教育委員会やPTAが「悪書追放運動」を展開したのを契機に、六十年代に設置が始まったとされる。昭和三十八年に尼崎市でドラム缶を白く塗ったポストが登場したのが最初とされ、現在も白い箱が多いことから通称「白ポスト」と呼ばれている。県内では草津市など南部地域で早くから取り組まれているが、湖北地域では七十~八十年代に、青少年育成の市民団体が駅構内などに設置していたものの、新聞紙やごみなどが投入され、管理が難しいなどの理由で撤収された経緯があった。
 「有害図書」は条例に基いて都道府県知事が指定しているもので、滋賀県では青少年健全育成条例の十一条二項で規定された「全裸、半裸、または卑わいな肢体、性交、これに類するような行為を描写、撮影した図画、DVD」などと規定され、粗暴性、残虐性を持つもの、犯罪や自殺を誘発させるとみられる内容の図画類も同様に有害とされている。
 
設置に疑問の声も
 国内の多くの「白ポスト」が青少年に有害とみられる図書類を家庭に持ち帰らない、子どもに見せないなどの趣旨で設置されていることから、かつては「ポストは有害図書類を購入、所持することを暗黙に肯定するもの」と批判する声があった。また、一般の少年漫画雑誌を「有害図書」と見なす人がいるなど、人によって「有害」の捉え方が様々なことから、都市部では、ポストが大量のスポーツ新聞や雑誌の大量投棄でごみ箱化し、地方都市では、周囲の目を気にしてまったく利用されないなど、格差が目立っていた。現在はインターネット環境でも同様の図画が容易に入手可能なことから、ポスト設置の効果を疑問視する声もある。