虎高OBの教授ら防災説く 姉川地震発生から100年 各地で催し | 近江毎夕新聞

虎高OBの教授ら防災説く 姉川地震発生から100年 各地で催し

 明治四十二年八月十四日の姉川地震から百年目の今年、虎姫町や長浜市で地震防災をテーマにした様々な啓発行事が取り組まれる。
 虎姫町は十四日午後一時半から同町宮部の町生きがいセンターで参加体験型の記念催し「姉川地震百年」を開く。初期消火、煙内避難、AED(体外式自動除細動器)使用、起震車による地震体験などのコーナーを設置し、誰でも利用できる。また午後二時からは防災マップ作り講座、同二時十五分からは姉川地震歴史講座がある。
 また虎姫高校のOBで防災、環境関連の研究をする大学教授らが八日午後一時から長浜市大島町の長浜文芸会館でシンポジウム「湖北の地震防災を考える―百年前に姉川地震が語るもの」(京都大学、滋賀県立大学、県土地家屋調査士会共催)を開く。
 長浜市出身で虎高OBの松波孝治・京都大学防災研究所准教授や、地震研究の国内第一人者の一人、尾池和夫・京都大学前学長らが、地震のメカニズム、姉川流域の地震被害の研究成果などを語る。また地震、防災の研究者らのシンポジウムがある。コーディネーターは長浜市出身で虎高OBの高田豊文・県立大学環境科学部准教授。無料、事前申し込み不要。
 また市内大依町の市立浅井図書館で十日から写真パネル展「姉川地震百年―湖北を襲った震災の記録と記憶」(長浜城歴史博物館企画展示)が始まる。日本の地震学のパイオニアの一人で旧東京帝国大学教授だった故・今村明恒が撮影を指揮したとみられる、姉川地震の被災写真資料のうち、三十二枚を複写展示する。二十五日まで。
 今村教授は、地震のメカニズムが不明だった明治二十二年(一八八九)に津波が海底の地殻変動が原因で発生するとの説を発表し、当時の学会から無視されたが、現在は定説になるなど、多くの先駆的な業績を残した人物。過去の記録から地震が周期的に発生していることに着目し、明治三十八年(一九〇五)に、「五十年以内に東京で大地震が発生する」と警告。雑誌に防災対策の緊急性を説く論文を掲載したことから、大きな反響を呼び、他の研究者らから「世情を動揺させる妄言」と非難され、一時は「ホラ吹きの今村」とまで中傷された。しかし十八年後の大正十二年に関東大震災が発生し、予言が的中。私費で地震研究所を設立したり、東大退官後も自費で研究を続け、但馬地震(一九二五)、北丹後地震(一九二七)ののち、「次は南海地震が発生する」と予測。東南海地震(一九四四)の南海地震(一九四六)が発生し、またも的中させた。
 長浜市では十七日から三十一日まで市内八幡東町の西友長浜楽市店の「赤い屋根の広場」でもパネル展示「百年前の大地震―姉川地震に学ぶその備え」を開く。
〔写真〕姉川地震で倒壊した田根村の野田田根小学校校舎