わずか30分で市事業を「裁断」 長浜市が101事業で「仕分け」作業 | 近江毎夕新聞

わずか30分で市事業を「裁断」 長浜市が101事業で「仕分け」作業

 会員制のシンクタンク「構想日本」が提唱し、滋賀県や高島市が導入する行革手法の一つ「事業仕分け」が先月二十九、三十の両日、長浜市役所でも行われ、市が委嘱した委員延べ二十八人が五人ずつの合議方式で、市がリストアップした百一事業を不要、見直し、民間委託などに「仕分け」た。市では今回の「仕分け」結果を直接、各種事業の統廃合に結びつけることはないとしているが、来年度の予算配分などに活かしたい考え。
 「事業仕分け」は、行政組織外部の有識者、他地域の自治体の行革担当者らが、公共の各種事業を評価し、「不要」「民間移譲」「手法見直し」などに分類する作業。短時間の集中審議で「裁断」を下すことから、一部に「自治体当局が事業廃止の根拠にしている」との批判があるが、小泉政権が推進した「聖域なき行革」の有効手段などとして、全国の自治体で導入ブームとなっている。
 長浜市が「仕分け」のそ上に乗せたのは、▽福祉バス運行▽姉妹都市交流事業▽中学生国際交流事業―など、庁内でも見直し議論がある百一事業。事業仕分け手法を推進する石井良一・滋賀大学産学共同研究センター教授らがコメンテーターとなり、「財源不足のなか、不要、不効率な仕事は市民の税負担に跳ね返る」などと告げ、各種事業を辛らつに批判した。事業を廃止すべきとの「判定」は少なかったものの、中学生の国際交流派遣に対しては「高価な観光旅行。中止して様子をみるべき」などとコメントした。また別の委員は図書館運営に対し「人件費が掛かりすぎ。民間の大型書店の店員の方が図書館司書より知識量がある」「映画会などの催しなどは図書館の主業務ではない。無料のリサイクル本も有料化して採算性の向上を図れ」などと指摘。事業説明に立った担当職員が絶句する場面もあった。
 また事前に事業内容紹介のカードが委員に手渡されているものの、一事業の「判定」は三十分に制限され、説明に立った職員のなかには「しっかり理解して、判定していただいたのか、はなはだ疑問」とする声もあった。また傍聴の市民のなかには「委員は市民の立場を強調しておきながら、市民の目線とは異なる発言が多かった」とまゆをしかめる人もいた。
〔写真〕仕分け委員5人がそれぞれ番号札を挙げて「審判」を下す「事業仕分け」作業(先月29日午前10時40分)