サルからぶどうを守れ 今荘観光ぶどう園にヤギ放牧 | 近江毎夕新聞

サルからぶどうを守れ 今荘観光ぶどう園にヤギ放牧

 県の農業技術振興センター湖北分場=木之本町千田=はこのほど、長浜市今荘町の今荘観光ぶどう園わきのフェンス内にヤギ十頭を放牧した。ぶどうを狙うサルを防除する実証試験で、昨年に続き二回目。
 昨年の試験では、七月から十月初旬まで六頭を放牧していた。湖北分場では、サルが慣れない動物の存在を警戒して、園内に侵入する割合が減ったと評価。今夏は放牧の頭数を増やして、サルの慣れや、行動の変化を調べる。
 農業技術振興センター湖北分場ではこれまで、山麓集落の山側にウシを放牧し、電気柵などに代わる、「自然共存型」の猿害防止策を研究していた。
 今荘ぶどう園では、七月上旬に行われる果実の袋掛け以降、サルが袋を破る被害が続出していたことから、同分場では、園の立地条件に配慮し、大型のウシより小型の動物で防除試験することを決め、これまでガチョウやオウミシャモ、ヒツジなどの放牧を試みていた。しかし、いずれもサルを恐れ、姿を見ると逃げ惑うことから失敗。ウシとともにサルを恐れないヤギに白羽の矢を立てていた。
 同分場によると、課題はヤギを完全放牧すると野生化し、ブドウ果樹の枝葉をかじる危険が高まり、ヤギのフェンス内放牧を続けると、サルが無害を学習してしまうことという。担当職員は「研究は猿害防止だけではなく、ヤギの畜産利用も目的。設置済みの警報センサーの併用など、効果を高める手法を確かめていきたい」と話している。