「忠霊塔」を平和祈念の碑に 長浜遺族会湯田支部が宗教色薄め再建 | 近江毎夕新聞

「忠霊塔」を平和祈念の碑に 長浜遺族会湯田支部が宗教色薄め再建

 戦没軍人の慰霊碑「忠霊塔」を、広く戦争犠牲者の慰霊と平和のシンボルに蘇らせようと、昭和十五年に長浜市内保町に建立された忠霊塔が、このほど新たなモニュメント碑に新調された=写真。
 毎年、同塔で慰霊祭を営んでいる長浜遺族会湯田支部(三田俊雄支部長)が忠霊塔移設委員会(六人)を設置。隣接の湯田小改築に伴う新道建設に伴い北東隣りの敷地約五百平方㍍に移設し、様式を一新したもの。
 高さ約十㍍のコンクリート製四角柱だった旧「忠魂塔」が老朽化していたことから、移設委員会では塔を等身大のブロンズ製「母子像」に変更。像の背後に白御影石製の納骨堂を設置し、旧塔前に在郷軍人会が設置していた石鳥居を解体して六本のモニュメントポールに造り替え、納骨堂の周囲に配した。ブロンズ像は日展特選作家で長浜高校の美術教諭、吉居寛子さんの作。
 旧塔には、戦没軍人ら百七十人余りの「御霊」がまつられており、毎年区長会と遺族会の主催で、仏式、神式交互の慰霊祭、追弔会が行われていた。遺族会では、戦争体験の風化に抗して、新たな世代に戦争の悲惨を伝えようと特定の宗教色にとらわれない、モニュメントを目指したという。
 設計は(株)教育施設研究所、施工は古川工業(株)。建設費三千万円は、全額市の移設補償費を充てた。