国友鍛冶の足跡追う 11月30日まで鉄砲の里資料館で特別展 | 近江毎夕新聞

国友鍛冶の足跡追う 11月30日まで鉄砲の里資料館で特別展

 長浜市国友町の国友鉄砲の里資料館は十一月三十日まで特別展「全国に雄飛した国友鉄砲鍛冶」を開いている。今月二十一、二十二の両日、同町内で開かれる「姉川・鉄砲と花火の里まつり」に併せた展示。
 戦国時代に、国内の鉄砲製造の中心地の一つだった国友町では、近世に入ると、鉄砲需要が急減。各地の藩が「お抱え鉄砲鍛冶」を求めたことなどを背景に、同町の鍛冶師の二男、三男らが全国に散ったと伝わる。鉄砲研究家の資料をもとに、同資料館が調べたところ、全国百四十カ所余りの鉄砲製造地中、五十二カ所に国友町から百九十人余りが移住したという。移住地に骨を埋めた者、帰郷したものなど、鍛冶師たちは様々な運命をたどったが関係資料はほとんど残されていない。
 国友町では明治維新以降、外国製銃の大量流入などで、鉄砲製造の道を絶たれ、火薬調合技術を生かして花火製造に活路を見出したが、鍛冶時代のままに家内工業の伝統を守ったことなどから、組織化された花火製造業者らに太刀打ちできず衰退。軍事をバネに成長した国友鍛冶が新たな活路を見出すことはなかった。
 展示は移住した国友鉄砲鍛冶を国内地図で示すとともに、各地で同鍛冶師などが製作した鉄砲九丁を展示する。うち一丁は火薬に点火する火皿が銃身の左に付いた「左利き用」鉄砲。左利き用は全国に数丁が確認されているだけのめずらしいもの。展示は長野県上田市の収集家の所蔵で、藩主が左利きだったことから製造されたらしい。
 午前九時から午後五時。無休。入館料三百円、小中学生百五十円。