水利権問題無視して事業化 旧浅井町の養魚場整備事業窮地に | 近江毎夕新聞

水利権問題無視して事業化 旧浅井町の養魚場整備事業窮地に

 旧浅井町が事業化し、合併後の長浜市が引き継いだ草野川養魚場整備事業で、旧浅井町が水利権をめぐる基本手続きを怠ったまま事業執行していたことから事実上、工事を執行できないでいることが、このほどわかった。
 養魚場整備事業は当初、角川誠・元浅井町長らが、長浜市野瀬町(旧浅井町野瀬)にある浴場などの複合施設「バーデ浅井」の利用者数アップを狙い、近くを流れる草野川に釣りサイトを整備。同川の魚影を増やし、釣り客を通年誘致する目的で立案した。
 設計委託は旧浅井町が十七年度に四百万円をかけて完了していたが、大雪などの影響で工事が遅れたなどとして、事業費約四千八百万円は次年度の新市予算に明許繰越されていた。しかし事業を引き継いだ長浜市が今年春に県に確認したところ、水利権変更をめぐる年間の余剰水調査、流況調査などがまったく行われておらず、慣行水利権の変更許可が下りない状況だったことが発覚した。
 養魚場は、指定管理者に予定されている草野川漁協の組合長が無償貸与する組合長家族名義の農地に建設され、養魚場でのアマゴ、イワナ、ニジマスなどの川魚飼育、河川放流、販売などの事業計画と権利はすべて、指定管理者の漁協が独占するなど、一漁協へのテコ入れ色が強いのが特色。手続き無視で、事業化を急いだ角川元町長らの責任が浮上しそうだ。