悲惨労働の温床「偽装請負」 労働局が10月から一掃キャンペーン | 近江毎夕新聞

悲惨労働の温床「偽装請負」 労働局が10月から一掃キャンペーン

 労働者派遣法の規制を逃れるため、業務請負契約の体裁をとりながら、労働者を派遣する「偽装請負」がまん延しているとして、近畿二府四県の労働局は十、十一月を「偽装請負一掃キャンペーン」期間と定め、人材派遣を要請する事業所などを対象に指導、監督を強化する。滋賀労働局も関係事業主を対象にしたセミナーを開くなど、取り組みを強化する。
 製造現場の業務請負は、請負業者が作業責任者を置き、作業指示を行うのが原則。しかし「偽装請負」では、実質的に請負を発注したメーカー側が作業指示を行い、請負業者は人を派遣しているだけの状態をいう。請負の発注、受注双方が労働者派遣法の規制を免れることから、低賃金や、過重労働、実質的な解雇に当たる「職務交代指示」が容易にでき、労働力の「使い捨て」の温床になっている。背景には▽外国人労働者の低賃金に対抗する▽フリーター志向や、労働意欲のない若者を選別できる―ことなどがあるとされるが、実際は低賃金、劣悪環境での労働使役を正当化するための脱法手法。中小製造業のほか、トヨタ、松下、キヤノンなどの大手企業グループで公然と行われていたが、朝日新聞などの報道で、深刻な労働実態が明らかになり、厚生労働省が先月四日に各地区の労働局に監督強化を指示していた。