本書「天才達のNLP戦略」の目的は、4人の天才を分析することで、
他の状況にも応用可能な「天才の戦略」を見つけ出すことです。
モデリングの理解を深めるために、引用しながら整理したいと思います。
①アリストテレス 「あらゆる学問の基礎を築いた天才」
<信念・価値観>
第一の原因、第一の原理を、その構成要素に至るまで知り尽くす。
<行動>
1 分析(または解明)すべき話題・テーマ・現象を選び出し、
それに関連する例をいくつか特定する。
2 自分が選んだすべての例に共通する要素を考える。
3 アリストテレスの「四つの根本的な質問」に答える形で、
作文のための「最初の一文」を四つ考え出す。
①それの性質とは何か?
②それの属性とは何か?
③それの原因または構成要素は何か?
④それは何を生み出したり構成したりするか?
4 アリストテレスの「換位(交換)」の原則を当てはめ、反例や例外の
可能性を探ることで、自分の前提をチェックする。
(続く)
②シャーロック・ホームズ 「コナン・ドイルが描いた謎解きの天才」
<信念・価値観>
システムのいかなる部分もそのシステム全体を表している。
<行動>
観察 ー ある状況に残されていた環境的な手掛かりの特徴を、
その他の状況の特徴にマッチングさせること。
仮説 ー ある手掛かりが生じている「問題空間(またはより大きな枠組み)」に
関する知識や信念を仮定すること。
仮説により、手がかりの意味や重要性が決定する。
推論 ー それぞれの可能性をその他の手がかりに照合することで、
不可能な行動を削除したり、可能な行動を裏づけたりすること。
メタ認知 ー 自分自身の行動プロセスを内省的に意識し、自らをある結論に
導いた「一連の思考」の経過を追うこと。
③ウォルト・ディズニー 「大衆を魅了した作品を創造した天才」
<信念・価値観>
私の仕事はわくわくする冒険のようなものだ。色・音・動きの海原を漂いながら、
終わりなき調査と発見を続けているのだから。
<行動>
ドリーマー
ディズニーは、主に「視覚的映像」と「感覚を重ね合わせ統合するやり方」を
通じて夢の創造を行っていました。ドリーマーとは「どんなことでも可能だ」と
いう態度で、全体像に焦点を絞る役割なのです。
リアリスト
ディズニーは「キャラクターにアソシエイトするやり方」と、夢をチャンキングする
「ストーリーボーディング」という手法を通じて、自らの夢を実現化していました。
リアリストとはその夢が可能である「かのように」振る舞い、夢の到達に必要な
一連の行動を明確化する役割なのです。
クリティック
ディズニーは「いったん距離を置いて見る」方法を通じて自分自身をプロジェクト
から切り離し、観客の視点からそのプロジェクトに対する厳しい批判を行いまし
た。クリティックとは、異なるレベルの基準を論理的に当てはめることで
問題回避・品質確保を行い、「もし~ならどうなるか」という様々なシナリオの
もとでアイデアや計画をチェックする役割なのです。
④モーツァルト 「作曲の天才」
<信念・価値観>
僕が完全に僕自身であり、本当に一人きりで、上機嫌であるとき
・・・ 一番素晴らしく豊かなアイデアが導かれてくる。
<行動>
【第一段階】
モーツァルトはこの第一段階で、自らの「内的状態」と「身体的動きおよび
環境からの刺激によるパターン」を相互作用させることで、音楽的なアイデア
が創出・解放されやすい状況を作り上げていきます。・・・
【第二段階】
モーツァルトはこの第二段階で、「対位法のルール」および「様々な楽器の特徴」
を目安に、一まとまりの音や音楽的アイデア「一さじ」を、より大きな構造「一皿」
にまとめていきます。・・・
【第三段階】
この第三段階で、モーツァルトがまとめあげた「一皿」は独り歩きを始めます。
彼の自意識を超越して、独自のアイデンティティを持ち始めるため、
もはや彼の介入も必要としなくなるのです。・・・
【第三段階】
この最終段階で、モーツァルトはいよいよ譜面を起こすことになります。
その際、彼はチャンキング・プロセスを逆に機能させ、「前の三段階を通じて
まとめたり記号化したものを、再び明らかに解読する」という方法をとるのです。・・・
<感想・適用>
まず、著者であるディルツの分析力とその姿勢に脱帽しました。
ディルツの「天才であってもモデリングすれば他の人も活用できる」という
価値観・信念を取り入れたいです。
誰かから学びたいと思った時は、アリストテレスのように、質問によって
「第一の原因、第一の原理を、その構成要素に至るまで知り尽くす。」
姿勢を持ちたいです。
また、シャーロック・ホームズを目標に観察力に磨きをかけたいですし、
計画作成・実行する時には、ウォルト・ディズニーの「ドリーマー」「リアリスト」
「クリティック」の3つの側面を活用したいです。
ところで、モーツァルトが作曲時に、聴覚以外の五感を複合的に活用していたのには
驚きました。優位でない五感も日々意識して活用したいと思います。