Gretchen Becker 著の『The First Year: Type 2 Diabetes: An Essential Guide for the Newly Diagnosed 』(日本語版は『糖尿病・最初の1年  』)を読んでわかったのだが、アメリカでもやはり、「糖尿病に罹ったのはアンタが悪い」的な風潮があるようだ。

糖尿病ほど、罹患した患者がいろいろ言われてしまう病気はないのではないだろうか。

「生活習慣が悪い」
「太り過ぎ」
「食べ過ぎ」
「食生活の乱れ」
「贅沢のし過ぎ」
「運動不足」

などなどなど・・・の批判。

私自身は、

健康ブームにまんまと乗せられて、自分の体質に合っていない玄米菜食(炭水化物過多)を続けたら、境界型糖尿病になっちゃった~~

家が差し押さえにならないようにがむしゃらに働き続けて、ストレスMAXで、ストレスが原因で食べ過ぎて、境界型糖尿病になっちゃった~~

などと、自分で悪かった点がわかっているので、何と言われてもかまわないが、

生活習慣とは関係なく、自己免疫疾患のために膵臓のベータ細胞が破壊されてインスリンが出なくなった1型糖尿病の患者さんまで、アンフェアな糖尿病のステレオタイプに当てはめて言われてしまうのは、気の毒だ。特に子供の場合は自分でうまく説明できない場合も多いため、偏見に遭遇するととてもいやな思いをしてしまい、本当にかわいそうだ。

糖尿病についていろいろ言われてしまうのは日本だけかと思ったら、アメリカでもそうなんだ。私は今のところ、自分の身体のコンディションについて親しい人や医療関係以外に話したことはないので、いやな思いもしたことはない。ラッキーなのかもしれない。

実は、2型糖尿病は、遺伝的要素が非常に強いようだ。糖尿病になりやすい遺伝子を持っている人はちょっと食べ過ぎても糖尿病になってしまう可能性があるのに、そういう遺伝子を持っていない人は、食べても食べても糖尿病にはならない(肥満にはなるが)。ということを、Becker の本で学んだ。

Becker は著書の中で「先祖の選び方が悪かったにひひ」だけで、「あなたのせいではない」と言っている。

インスリン製剤を製造・販売しているイーライリリー(アメリカを拠点とする巨大製薬会社)のウェブサイトでも、「糖尿病にかかったのは、決してあなたのせいだけではないということを、まず覚えておいていただきたいのです 」と書いてある。

私も人に何か言われたら、まず、「遺伝です」と言うと思う。特にアメリカでは、病気は「遺伝」と言えば詳しい説明なしに納得されることが多い。


「糖尿人いぢめ」はいつ、どのようにして始まったのだろう? 調べてみると興味深いかも。

世界中で糖尿病人口が爆発的に増えている昨今。糖尿人がマイノリティでなくなる日が来るかも。そうすれば、「糖尿人いぢめ」はなくなるかもしれないが、それはそれで恐ろしい状況だと思う。