名前を呼ばれて、受付のすぐそばのコンパートメントに入った。採血をしてくれる技師は、同情心のありそうな若い女性だった。

いつものお決まりで、名前と生年月日を言わされた。次に、血管を浮き立たせるために腕を縛るのだが、1月に採血したばかりの右腕の血管はちょっと不安で、技師に両腕を見てもらってから結局、今回は左腕の血管にすることにした。

採血は採る量や技師によって痛いこともあるのだが、この検査の始めの採血はあまり痛くなかった。

「じゃあ、オレンジの液体を飲んで。時間は5分間よ」と言われた。

蓋を開けて飲んでみると、確かに甘いが、極端な甘さではなく、飲めないものではなかった。もちろん朝食なしだったので、ちょっとうれしかった。

私は「悪くないね」と言った。技師は、「そう? 甘すぎると言って、5分で飲めない人もいるのよ」と言った。

私が飲み終わると技師は時間を記録し、ラボの待合室(受付のすぐ前)で名前が呼ばれるまで静かに2時間を過ごすようにと指示した。ラボ内のトイレに行ったり、水を少し飲んだりしてもいいが、ラボ内で動き回ったり、外へ出てはいけないと。私が本を読んでもいいかと聞くと、OKだと言った。

ここまでのやり取りのあと、自分の脈を測ってみたが、やはり1分間に110ぐらいで速い。心臓バクバク

そして、それが地獄の2時間の幕開けであった。