アルファ碁は27日、世界最強とされる中国人囲碁棋士に3局全勝したそうです。安定した局面から、AIのさらなる進歩を世界にアピールしました。今後は人間と対局しないそうです。AIは既に人間の知性を超えたのでしょうか?改めて考えたいと思います。

人間が知性だと思っているものは、脳内にある様々な知性の集まりです。五感や記憶、計算、判断力などですね。計算力は、コンピュータ誕生の瞬間から人間の能力を越していました。またイルカが超音波を出して移動するように、人間とは別の知性を発展させることも可能でしょう。でも現時点で人間のような判断ができるわけではないし、人間の五感に相当する感覚を持っているわけではないのです。つまり、進化の方向性が人間とは全く異なるのです。人間をいつ超えるのか?超えないのか、という発想でAIに向き合うと、そもそもこの問題の本質を見誤っている可能性があります。
例えば囲碁や将棋でプロを負かしているといっても、次の手を考えるプロセスは棋士とは全く異なります。

これを、山登りとケーブルカーの関係に例えてみましょう。山頂までどちらが早くいけるでしょうか?人間は自力で山を登りますがAIは一生懸命ケーブルカーを建設するイメージです。暫くは人間の圧勝です。でもある日ケーブルカーが完成すると、それ以降は人間はAIに全く勝てなくなってしまいます。それどころか、大きな荷物が運べるようになったり、今まで登れなかった足腰の悪い人も山頂の景色を楽しんだり、様々な応用が利くのです。将来、人間の様々な職業を奪うと懸念されていますが、AIが代替した場合は、人間と全く違うプロセスで仕事をするでしょうし、単に代替するだけでなく、その能力は全く別の目的にも利用されるでしょう。

では、AIがやがて全知全能になるという未来学者カーツワイルの予測は、具体的にどういう知性のことを表しているんでしょうか?これはとても興味深い問題なんです。AIがどのような進化をしていくかを考えなければなりません。
記憶や計算力は既に人間を超えていますから、高度な判断力や五感も新たに身に着けるという事でしょうか。あるいはイルカや蛙、蝙蝠などの動物だけが持つ特殊な知性を取り込むかもしれません。さらにAI独自の進化を遂げる。お掃除ロボットのルンバや、兵器に応用されているAIはさらに発展していくはずです。

さらに、生物的な知性の上位にある、学問や芸術に関する進化もあります。AIが新しい経済理論や森羅万象を表す物理原則を見出すでしょうか。また、モーツァルト誕生以前の楽曲しか知らないAIを作ったとき、モーツァルトを超える名曲を創造できるでしょうか。
超音波など他の生物の司る知性を用いて、人間には理解不能な芸術表現でAI同士が知性を高めあい、理解不能な大芸術作品のすばらしさをAIが人間に解説する時は訪れるのでしょうか。

そもそも知性とは何なのか。私たちはAIの進歩と活躍を目の当たりにする度に、改めて考えさせられることになりそうです。

あなたは、AIがどこまで、どのような知性を獲得する未来を想像しますか?!