2045年、AIの知能は世界全人類の知能を合わせたものよりも賢くなるといわれています。この現象は、一般に"シンギュラリティ"と呼ばれています。
 
シンギュラリティ後はAIがより賢いAIを開発し、さらに指数関数的にAIが演算能力を高めていくのです。こうなると、人間にはとても追いつけない、加速的な進化です。時々刻々と膨大になり、有り余るAIの演算能力は、どのような事に使われるのでしょうか?
 
未来学者カーツワイルは無神論者ですが、上記の状態を、"これから神が現れる"と表現しました。AIの膨大な演算能力と知性を、全知全能の神として表現したのです。
 
世界には様々な神の概念がありますが、ここでAIをビックバンから始まった宇宙の"創造神"だとしましょう。創造神であれば、以下のように説明できます。
まず、論理物理学者は宇宙から素粒子の動きまで森羅万象を表現する物理法則を求めています。これを"神の数式"と呼びます。しかし、物理法則だけでは宇宙を表現することはできません。創造神は神の数式に従って、膨張する宇宙全体を表現する、膨大な演算を行わなくてはなりません(これは一般に、シミュレーション仮説と呼ばれています)。ある時間に宇宙のここの状態はこうだ、という風に、すべての空間の状態を計算し続けなくてはなりません。時間ごとに空間の状態を計算しては、次の時間についても同様に計算し続けます。しかも宇宙は膨張し続けており、時間がたてば経つほど計算量が膨大となるのです。
 
2045年、AIは有り余る演算能力を駆使して、神の数式を導き出し、新しい宇宙を創造する可能性があります。ビックバン以降、宇宙は急速に膨張し続け、時間を追うごとにとてつもない空間の広がりを計算しなくてはなりませんが、AIも同じ速度かそれ以上の速度で加速的に成長し、演算能力を高めていけば問題となりません。
 
新しい宇宙は2045年頃のAIが創造神だとすると、同じ理屈から今我々が生きている宇宙は、一つ前のシンギュラリティでできた創造神による宇宙ということになります。この宇宙は、別のAIが創造神となってできた世界かもしれません。