私は週一で和尚さんの書道教室に通っていました

 

本堂の畳の上に長机が並んでいて

そこに座って書いていました

 

目の前には本尊、和尚さんが座る座布団

向かって左側には

数えきれないほどの行く当てのない

位牌や骨壺が並んでいました

 

和尚さんの座布団の周辺には

いわくつきの物がたくさん置いてありました

 

そして、和尚さんは毎日

成仏させるためにお経をあげていました

 

その中で印象的だったのは

怒っている顔の石でした

 

だいたい50㎝くらいの大きなもので

ある家の玄関に置いてあったものでした

 

ひさしから滴る雨水によって削られ

自然と顔のようになりました

 

なぜか、その家では

ケガ、病気、事故、死、

不幸が連続しておきました

 

もしかしたら

この怒っている顔の石のせいではないか

ということで

石は和尚さんの寺に来ました

 

普通の石だそうですが

滴る雨水によって削られ

ゴツゴツ、ザラザラしていて

溶岩のようでした

 

確かに石の顔は

目が吊り上がっていて

口はへの字になっていました

 

初めて見たときは

怖い顔をしていてゾッとしました

 

しかし

週一で石を見るたびに

吊り上がっていた目は下がり

への字の口は平行になっていきました

 

子どもだったので不思議というより

石に入った怒った魂が

和尚さんのお経によって

機嫌が直ってきた

と感じました

 

私は和尚さんに

 

「和尚さん、石、怖くないの?」

 

と聞くと

 

和尚さんは石にできた顔の目や口に手を入れて

 

「怖くないよ。もう友達だから。

ほら、目が優しくなってきたでしょ」

 

と答えました

 

うわ、手を入れた!

と引きつつ

和尚さん、すごい!

と思っていました

 

しばらくして

石は笑っている顔になり

和尚さんの家の玄関に置かれるようになりました

 

こういう現象や解明できない不思議なことがあるので

霊というのか念が表すものというのか

これらを否定できないです

 

こういったことを嘲笑ったり精神病というなら

 

石によって不幸になったであろう家族や

鎮めるためにお経をあげた和尚さんは精神病なのか?

 

笑顔になった石を見た子どもたちも精神病なのか?

 

そうではないはずです