■トリプルメディアマーケティング
ソーシャルメディア、自社メディア、広告の連携戦略

・ソーシャルメディア活用というとすぐにブログ開設、アカウント取得と想起されがち。すると誰が運用するのか、炎上しないのかという議論になり、簡単に手を出さない方がよいという結論にたどりつく。この発想は間違っていないが、それはソーシャルメディアの1面=情報発信する手段としてしか見ていない。
ソーシャルメディアには情報を受信する手段としての側面もある。ソーシャルメディアに耳を傾けてみることこそ、ソーシャルメディア活用の基本。相手の話を聞くことはコミュニケーションの基本だ。

・今後、リアルタイム志向が進行していくと消費者はコールセンターよりもソーシャルメディアや検索に依存するようになるだろう。

・ソーシャルメディアの知識を活かしてPaid Media、Owned Mediaの施策までを最適化しなければならない

・Paid Mediaのソーシャルメディア最適化
 Paid Mediaの話題をソーシャルメディアにできるだけ広めること。話題になるような広告を制作すること。
 「だれかに伝えたくなる広告か」を追求。マスコミやブログでどのように紹介されるか、どのようなワードで検索されるか

・Owned Mediaのソーシャルメディア最適化 
 Ownde Mediaの話題をできるだけソーシャルメデイアに広めること。
 話題にする価値のあるコンテンツをそろえること。その上でソーシャルメディアの共有ボタンを用意するなど

・広告らしくない広告にトライすべき。消費者が求めているのは広告ではなく情報コンテンツ。情報の中の一部が広告情報となる。広告フォーマットを前提にしないこと。

・マス広告:「売る理由」消費者に刺さる尖ったエッセンス=訪問者とすれ違う
 ネット:「買う理由」訪問者は基本的に買う理由を探しにきている
 その「買う理由」は企業側が考えている「売る理由」でない場合がほとんど

・ウェブサイトではまずセールストーク(売る理由)ではなく、そのブランドを選ぶ理由に出合うことを重視すべき。「買う理由」を発見してもらうためのブランド体験の場を提供する

・「インターネットはセルフサービスのチャネル」
 見込み客が訪問してくるが提供側の思い通りにならない/意識しないと顧客が見えない
 訪問者にストレスをかけるサイトは競合ブランドに誘導しているようなもの

・企業が自ら発信するメディアは「お金にすること」が第一の目的なのではなく、元々かかっているコミュニケーションコストを削減するためにつくるのだ。

・従来は資さえあればPaid Mediaに出稿できたし、優秀な広告会社を使えばよかったが、デジタル時代は企業内に知識がないといけない。できる企業とできない企業の差がつく。

・マス広告だのウェブ広告だの区別している次期は終わった。

・ブランドコミュニケーション開発は通常「どう認知させようか」からスタートする。典型的な送り手主導のコミュニケーション開発だ。しかしこれからは興味関心や購入意向を顕示した見込み客のサイトの行動から「カスタマーインサイト」を発見し、そこから認知におけるメッセージを逆算するプロセスが必要。

・ますます重視される「自分事化」だが、いきなり目指すのは難しい。まずは「社会事化」「仲間事化」。=PRの発想

・本書で指摘されているメディア論の本質はテクノロジーを以下に使いこなすかということではなく、商品の社会的価値とメディアの役割、そこに乗せる情報文脈を以下に組み合わせるか、ということにある。商品コンセプトの段階で社会的存在としての意味を深堀りし、商品に込めた企業の想いをきちんと消費者に伝えられるコミュニケーション設計を行うことがなにより大切。=PR発想そのもの



脱広告・超PR―広告を信じなくなった消費者を動かす「連鎖型」IMC [単行本]
山田 まさる (著)



・時代との接点を探りながら、共感を獲得できる提案をつくる

・広告が効かない 刷りこみマーケティングの終焉
 1.情報量が増えた 2.必要な情報だけを必要な時に取捨選択する権利を得た
 3.情報を憶えなくなった ブランドイメージ・マインドシェア×
 =消費者が手ごわくなって、憶えなくなった


・ざわざわを次へ次へと広げていく仕組みが必要

・PRは広告の前説でも代替えでもなく、話題喚起、問題提起というPRの機能がマーケティングコミュニケーションに必要とされている

・マスコミとクチコミの協奏
 ざわめきを呼び起こして、それが反響を生み、さらに大きなうねりへと波及していく、その連続するコミュニケーション

・従来型(刷りこみ型)と連鎖型・対話型の比較
        従来型          連鎖・対話型
 ゴール    伝える          動かす
 メッセージ  お知らせ(知識の提供)  提案(動機づけ)
 伝え方    one to one n to n
  繰り返す         情報の連鎖を広げていく

・戦略立案プロセス 
 ①one to one 洞察 徹底した洞察で提案の糸口を探り出す
②n to one  説得 納得のインフラを整備する
 ③one to n  拡声 マスプロモーションで大きなうねり
④n to ne   連鎖 情報が伝わる連鎖の

・情報クリエイティブ
 広告クリエイティブ イメージ創造→アーティスティックに表現するセンス
 情報クリエイティブ 事実に基づいた情報創造→本質的価値を認識させる高い専門性&コーディネート力

①洞察フェーズ
 1.パブリック・インサイト調査「世の中事」を洞察
  ファクト調査/マスコミの論調を探る/世の中の声を聞く
 2.パーソナル・インサイト調査「私事」を洞察
  消費者との認識・意識・理解のズレ・鮮度/動機を探る/自分事になっているか
 3.+nの発想で「提案」をスクリーニング

②説得フェーズ
 1.+nの関係づくり
 2.提案・シナリオづくり
  話題喚起・問題提起のシナリオ/対話から共感獲得までのシナリオ
 3.コンテンツ開発
  情報にカタチを与える キーワード

③拡声フェーズ
 1.PRから始まる連鎖型IMC
  ●PRファースト
   ・広告効果を高めるための「空気づくり」「聞く耳づくり」は一面
   ・「話題喚起」「問題提起」機能 関心を呼び起こすこと
  ・PRにあるのは「枠」ではなく「型」
    型:記事のタイプ、情報番組のタイプ・・・
 2.PRで「話題喚起」「問題提起」の局面をつくる
 ・「取り上げられるべくして取り上げられる」必然のニュースバリューに仕上げる
 3.これまでのPR、これからのPR
   これまで:露出させること、露出のための戦略のみ
   これから:露出の先にある話題喚起・問題提起まで 
  
  ・PRの可能性と限界
   PRの強み:「広告枠」にとらわれない発想とアイデア、伝播力、投資効果
   PRの弱み:安定的にコントロールができない、単体で解決できることには限界ある

  ・PRの可能性 (PRは花火)
   「情報クリエイティブ」と「情報連鎖を生む伝播力」を抽出して
   マーケティングコミュニケーション全体に反映させること 単なる「露出」を超える

④連鎖フェーズ
 ・興味をもった消費者の多くは検索を経てネットの世界へ情報を探しに入ってくる
  「テレビ番組→検索→ネットの世界へ」

 1.「対話(ガイド)」の局面を担うのはウェブ・プロモーション
  ○対話の場を設定する
  ・最終目的は「その気にさせる」「見込み客化させる」こと
  ・すでにかなり興味をもって知りたがっている見込み客→ブランドサイトへ
  ・気持ちがそれほど温まっていない、その気になっていない客→サテライトサイトへ
   ※サテイライトサイト
    押しつけではないスマートなガイドとして挟む
    会話を弾ませるためのプロモーション・サイト
    ブランド色や企業色をあまり感じさせないサイト
    カテゴリー情報の中でブランド情報に興味をもってもらうことが目的
    独自設定もしくは既存のウェブサイトとの共同企画、特設サイトに担わせるなど
  ○SEO・SEMへの考察 ※反響を吸収する
  ・PRで話題づくりを仕掛け、その反響を吸収する
  ・検索キーワードの設定
   固有名詞かオリジナルワード
  ○「導線(トラフィック)」の確保
   着実なのは「ネットPR」の積み上げ
   ネットメディアでのPR記事の掲載→ブランドサイト・サテライトサイトへ
   マス広告からネットへの集客はほとんど望めない
  ○伝わる原動力は受け手の気持ち
  ・消費者が主体的に情報をかくとくする構造をつくる
  ・意識のスイッチが入った状態で「聞く」「読む」「見る」
  ・人が思わず言いたくなるのは自分が受け止めた感想や感情
   伝えたいのは「自分の気持ち」、そういう気持ちに共感する





開米 瑞浩
仕事が10倍速くなる最強の図解術

図解の本はもう何冊目だろう。それでもまた手にとってしまうのはなぜだろう。

結局は図解がいかに有用かという切り口は同じで、あとはテクニックの話になるのだが、当著では4Sという手法と、「テーブル型」と「座標型」に分けて簡素化している点がよい。


普段仕事でつねに図解を意識していると自然に身につくものだとは思うのだが、こうやって改めて明確化されてみると、確かにそうだと納得するばかりである。

特に最近の○○ハックス系の本で登場する付箋紙などを用いた、「とにかく頭の中身を外に出す」という手法と親和性が高いので、後半の4Sというやり方はなかなか有効だと思われる。

一度テーブル型のマトリクスを作ってから座標型に写すという作業を普段は頭の中でやっているわけだが、こうして一度ビジュアル化することは新しい視座を自分に与えるという意味でも、かなりツカエるであろう。


ただし、練習ならともかく、実際に自分がこの手法を運用するとしたら、よほどアイデアに困窮し、課題に解決策が見出せなくなった時だろうな、と考えた。普段からこうした図解には慣れておくべきであろうが、すべてにここまでの時間をかけることはできない。これは必要な時に用いるべき手段なのではないかと思う。


一時、すべてをなにがなんでも図解にするというブームがあったが、その弊害は避けるべきだ。