丸山 学
Web2.0的仕事術 他人の力をフル活用して稼ぐ方法

Web2.0を捉えた著作の中では、「ウェブ進化論」以来の良著であった。冒頭でも著者がいっているように「市井レベルのWeb2.0的仕事術」という姿勢が非常にわかりやすくてよい。ただし、個人的にはもっと「現実の仕事をWeb2.0的ツールを使って効率よくするハックス」的なものと思っていたのだが、そうではなく起業、ネットビジネス本としてとらえるべきである。


実例も多く有効だが、それよりもこれからどういう心構えでWeb2.0世界で生きていくかという戒めみたいな部分がもっとも有効であった。


①自分の力だけで道を切り開く時代ではなくなった
②Web2.0的思考を早く始めた人が勝つ

すべてはこの2点に集約される。そして、ビジネスにおけるWeb2.0とは「他人が効率的に自社の価値を高めてくれる便利なもの」という視点は特に重要だ。


・Web2.0は間違ってもビジネス弱者の味方ではなくビジネス強者の味方
・Web2.0はフラットな世界で、大企業も零細企業もフラットな戦いができるのだが、他者の力を上手に使ってコンテンツの量と質を作れる時代になった今、動員力の差がそのままWeb上の力量の差をなって現れはじめている
・どんどん強者は勝ち、どんどん弱者は負ける
・勝機は特定分野で自分自身がWeb2.0的手法でNo.1になる だれよりも早く「価値の蓄積」をしてしまうことである



稲盛 和夫
アメーバ経営―ひとりひとりの社員が主役

稲盛氏の著作は初めてであった。「レバレッジ・リーディング」以降、目的的に本を読むようになったため、当該著作は今の自分によって「アメーバ経営」自体の仕組みは全く魅かれるところはなかった。

むしろ稲盛氏の経営哲学のようなものが非常に有効であった。


以下、引用。

・企業経営を安定させようと思うなら、たとえ技術的にさほど優れていなくとも、どこでもやれるような事業を優れた事業にすることが大切である。つまり、誰もがやれるような仕事をしていても、「あの会社はひと味違う」というような経営をすることが、その会社の真の実力なのである
・平凡な仕事を立派な事業にしている会社こそ、実は非凡な会社なのである
・「能力を未来進行形でとらえる」ことができる者が、困難な仕事を成功へと導くことができる
・経営とは、長期的な視点を持っておこなうべきものであり、製造業であれば自社内で重要な技術を蓄え、創意工夫を重ねて付加価値を高めていくべきである
・会社というものは、低い目標を立てれば低い結果しか得られない。業績を大きく伸ばしていこうとすれば、どうしても高い目標を立てる必要がある
・偉大な事業というものは、高い目標を持ちつつも、一日一日を全力投球することによってしか成し遂げられないものである

ジーン・リップマンブルーメン, ハロルド J.レヴィット, 上田 惇生
最強集団ホットグループ奇跡の法則―成果を挙げる「燃えるやつら」の育て方

ホットグループという着目点がよい。

自らの仕事に照らし合わせると、その集中度の高さとなりふり構わないところ、そしてミッションへのコミットメント度合いなど、確実に一人ホットグループ状態な時がある。

これは大組織の中のチームでも散見されることであり、現在の組織では、1週間ほどかかる業務に集中的に取り組んだ場合にホットグループ化を見ることができる。


ただしそれは完全なホットグループではない。なぜならば本人が楽しめていないからだ。

「業務をこなす」という押し付けの形はホットグループとは言わないのである。


逆に特にイベントの企画を得意とする自分としては、大集団のイベントの企画・運営をしている時こそが、ホットグループであるといえる。仕事や家族はそっちのけで極度の集中状態に入り、自らも楽しみながら恐ろしいほどの想像力でプロジェクトを運営している。



当該著作は親組織とホットグループを照らし合わせて、その両方の融合こそが重要と説いており、その通りだと考えるが、私のような一社員ではホットグループを組織の中に内包させるのは困難である。


そこで、上記のようなイベント時におけるホットグループ状態を必要な時に呼び起こし、外界(親組織)に戻らねばならない時にホットグループ状態から抜け出すというコントロールができればよいのではないかと考える。
いわばホットグループ状態のオン・オフのスイッチである。


よくよく考えれば、自らの仕事のやり方はこのホットグループ状態を自らに使い分けた緩急のつけ方であるとも考えられる。これをうまく使いこなせた時が一人ホットグループなわけで、自らの中に別人格を内包している場合、この手法はさらに有効であると思われる。