今頃~~~~な話を3つも書いたところで、
やっと書けるなぁ。
世間の空気は、
全く読んでないよ。
先週の土曜日4月17日、
「歌手・米倉利紀」以外の、
米倉利紀の姿を見てきた。
今回、歌・トーク以外のヨネの姿も初めてだったんだけど、
私の人生においても、
「お芝居」というものは初めての体験。
場所は名古屋の中心部「栄」から東へ歩くこと5分、
テレピアホールで、
“Duet For One”
の最終日の13:00~からの公演を観覧。
当日、現地からもブログUPしたけど、
会場は、コンサートのときと違って、
小さいし、それに席番号が???
普通は、
A列がいちばんステージに近い側であることが多いのだけど、
この会場は、
A列が、いちばん最後尾列。
私は、P列だったので、
相当後ろかと思いきや、
前から、、、、たしか5列目だったかなあ。
しかも、中央付近。
舞台の右隅から左隅までよく見えて、
ほどよい位置。
始まる前から緞帳は下りていなくて、
セットは丸見え状態。
右から出てくるのか、左から出てくるのか!?
ヨネの登場が先か、安さんが先か?
事前の予備知識は、
「世界的なバイオリニストが原因不明の難病に侵され、
絶望の淵で、一人の精神科医の元を訪れる」
1980年にロンドンで初演された、
2人芝居であり、
今回、
翻訳劇初演出 鄭義信
初舞台 安めぐみ
初ストレートプレイ 米倉利紀
という、どうなるのか予測できない舞台、
になりそうだ、ということのみ。
ずっと、ヨネのファンではあるんだけど、
歌以外のことをやってる姿を
今まではスルーしてきたから、
(ミュージカルが、タモさんと同じ理由で苦手で)
見る前からドキドキ。
ダーリンが、
「芝居を見るの、初めてなの?」
って聞くので、
「うん。」
というと、
「? そうかぁ。。。。
じゃあ、ちょっとキツイかなぁ?」
「それって、どういう意味?」
「まぁ、見ればわかると思うけど、
お前が苦手な感じだと思うよ。」
「ふ~ん。。。。」
「この芝居、、、、、季節は夏だな?」
「え? どうしてそう思う?」
「だって、、、、扇風機があるだろ?」
「あ、本当だ。扇風機が回ってる。
このお芝居はさ、もともとはロンドンで初演されたらしいんだけど、
セットをみると、やっぱり、日本風な感じだよね?
そういえば、ネットで情報を見たときは、
役名もどこにも書いてなかったかなぁ。
あ、パンフレットには書いてあるね。
ステファニー・エイブラハムズとルイス・フェルドマン。。。」
「なんだろう? この感じ。
あの生活感タップリな、部屋の向こうの物干し竿。。。」
ブ~~~~
どうやら始まるらしい。
おお!
ダーリンのヨミどおり、“夏の音”が聞こえてきた。
ジージーいう、セミの声。
ヨネが先の登場で、、、、
しかも、洗濯物を干し始めた。
軽くたたんで、パン!
それから広げて干してゆく。
こういうのは、普段のヨネのクセかもしれないし、
演出かもしれないし。。。。
……反対側から、
電動車イスに乗った安さんが登場。
ヘアスタイルも気品ある感じで、
サングラスをかけての登場。
外の水道で手を洗い、
電話をかけてから、
家のベルを鳴らす。。。。
と言った感じで始まったんだけど、
ここから、10分ぐらいが、
私には相当キツかった
なんていうか、
テレビや映画と違って、
音声をマイクで拾っていないから、
会場中に聞こえるように台詞を言うので、
話し方が、発声が、とても不自然なのだ。
ああ、この感じ、
私、ダメかも。。。。。
子どもの学芸会か何かを見るようで、
なんだか、見るほうも照れくさいというか、
恥ずかしいような感じ、というか。。。。
しかし、、、、
ヨネのほぼ毎日更新の日記にあったように、
安さんの「ハンパなく長~い台詞」が始まって、
あまりの長さと、
テンションの高さと勢いに、
思わず会場からも笑いが……。
演出で、台詞の語尾を伸ばしたりするから、
余計におかしくて、
ちっともしゃべるのをやめない安さん、
いや、ステファニーに、
どこで入り込もうかと、台詞のスキマをうかがう、
ヨネ演じるフェルドマン先生が、
これまた面白い。
動きの面でも、
難病が原因で、体が思うように動かないという設定のようで、
配慮が必要だった部分も多かったし、
ヨネのもともとのキレイ好きの性格が出ていそうな、
そんな動きも、表情も、会場のどこからでも見えるように、
少々オーバーに表現されているから、
難病に侵されて、絶望を感じている人の話、
にしては、ずっとどんより重い内容ではなくて、
笑えるところも結構あった。
難病というのは、
“多発性硬化症”だったのだけど、
今でも、その原因は明らかになっていなくて、
ロンドンでこの作品が発表された当時は、
「不治の病」とされていたらしい。
発症するのも、脳、脊髄、視神経など、
中枢神経に炎症が繰り返しおきるそうで、
そのために、いろいろな神経症状が出るということだ。
感染病や遺伝病ではないらしいというだけで、
原因がわからないので、
炎症の鎮静化や疼痛の抑制などの、
対症療法とメンタルケアが必要のようだ。
……ということがわからないと、
芝居の内容がわかりづらい。
ずっと、2人だけで話が進むから、
“Duet For One”。
精神科医だから、
何かをするという動作の面よりも、
話の中から、
ステファニーの心の闇を見つけ出して、
少しずつ、質問を通して、
解きほぐして、、、、という感じ。
正直、
めちゃめちゃ長い台詞の応酬なので、
印象的な言葉って、
ほとんど覚えていない。
初舞台、初ストレートプレイの2人が挑むには、
題材としても難しいし、
台詞も多いし、長いし、
2人きりだし、、、
かなり大変な作品だったと思う。
途方に暮れたことも、
きっとあったと思う。
だけど、
3月26日から始まって、
私が見に行った4月17日の最終公演まで、
6箇所22公演、
ちゃんと消化できたこと、
すごいと思った。
安さんって、私の中では、
おっとり、ゆっくりなイメージだったので、
早口でまくし立てるようなしゃべりや、
憎たらしく思えるような話し方、
それに、
病気のせいで、
本人も気づかないうちに精神的に追い詰められていく過程で、
どんどん、自分を破滅へ導くような行動をとって、
なげやりになっていく感じ、
こんな役も演じられるんだ、という驚きが強かった。
聞き取りにくいんじゃないかと思った声質も、
渇舌がよくて、意外だった。
途中、休憩を15分挟んだとき、
コチラの集中も切れるかなと思ったけど、
一息入れたことで、
逆にすんなり芝居が入ってきた。
場面も季節が移り変わっていることを
感じられるように変化があった。
もう、本当に終盤に差し掛かったあたりで、
お芝居のいちばんのクライマックスがやってきたのは、
ステファニーの台詞のときではなくて、
フェルドマン先生の台詞のときだった。
それまでとは、明らかに違う、
表情、動作、語気、声、、、、、
全身で怒りと悲しみを表してるその様子に、
あまりの勢いに、
お芝居を見ていだけのたはずなのに、
私は、自分が怒鳴られたような、
叱られたような、
そんな驚きで、ボロボロ涙がでてきてしまった。
会場の雰囲気も、
もちろんそれまでも静かではあったけど、
それまでにないくらいの、息をのむくらいの静けさ。
精神科医のフェルドマン先生ではなく、
一人の人間フェルドマンが、
姿を現した状態。
私はそう感じたんだけど、
そういう解釈で、演出側の意図と一致しているかどうか…?
最終的には、
難病に苦しんでいて、暗い気分で終わらずに、
むしろ希望が見えるような感じで終わったんだけど、
周りが立って拍手するまで、
私は放心状態のような感じだった。
見て感動した、というハッキリとした感動ではなく、
よかったぁ、、、という気分でもなく、
正直言うと、
「疲れたぁ。。。。」
というのがピッタリ。
ただ、見ていただけなのに。
あの日、私は、
たった2人だけのお芝居を見て、
見ている側の体力までも奪うような、
すごいものを見ちゃった、
そんな感じ。
翌日まで、
何も考えられなかったもん。
世間や、専門家の評価は知らないけど、
私は、見てよかった、と思った。
きっと、
このお芝居を演じた安さんも、
ヨネも、
今後の仕事、いや、生活や考え方、
価値感にも影響してくるのではないか、と思う。
この芝居をしている最中、
テレビを見ても、見ていなかった、
と日記に書いてたヨネ。
すごくわかる気がする。
毎回、演出家の鄭さんが、
日々要望を出して、付加するものが多かったお芝居。
初日と最終日で、
何が、どこがどう違ったかはわからないし、
一度しか見ていないので、
22公演のどれとも比較はできないけど、
私が見た21公演目は、
かなりいい出来だったんじゃないかな?
とりあえず、
私には、何かが届いた、と思うから。
あれを、一日2公演した日が何回かあったなんて、
信じられない。
「脳みそから台詞を抜く」っていうヨネの言い方、
すごくわかる、その心境。
本当にお疲れさま。
この舞台には、
歌で通じてる仲間も、
ミュージカルでつながった仲間も、
期間中、来てくれてたらしい。
13日だったか、亀戸公演には、
“柿やん”も来てくれたって、
日記に書いてあったよ。
シボったというカラダも、
「うん、一年前に見たときと、体型変わったかな」、
って思った。
舞台って、水道ひいたり、
雨降らせたりもするんだね~、とか、
どうして洋間っぽい家具なのに、
畳の部屋だったんだろ?
とか、
パンフレットには、
ルイス・フェルドマンとなってるのに、
ヨネは、アルフレッド・フェルドマンて名乗ってた。
疑問もいっぱいだわね?
ま、名前は大きな問題ではないね。
だけど、、、、
それらはすべて、
演出家の感性、ということで。。。。
だって、
私は、演出家・鄭さんの目論見どおり、
違和感を感じて見始めたから、
最初から、
まんまと鄭義信ワールドにハマッていたのだと思うから。
さ、次は、
米倉利紀ワールドへ行かなくちゃ!