昨日急遽三井記念美術館へ足を運びました。最終日とあって
大勢の入館者が詰めかけておりました。目についたのは、
茶道関係者と思われる和服姿の面々、焼き物の肌をも喰い
入るように角度を変えては眺めて溜息をついている美術専攻かと思われる青年等々。
美的感覚が伴うものに本当は言葉などは邪道であると思い
ますが、敢えて独断で感想を述べることをお許しください。
展示室の趣のある歴史をも感じ取れるカーテン、木目調の
壁面が作品の重厚さに加味しているように映る。
異国の文化を取り入れつつも、余分な物をそぎ落とした
ことから生じる極限の美に触れさせていただきました。
まるで厳かで心引き締まる茶室に迷い込んだ気分です。
正に簡素から生じる贅沢な研ぎ澄まされた極みです。
それでもその中に実験的な部分や遊びの心も垣間見える
のす。
売店ではお香の香りが辺り一面に上品に漂っていました。
その香りから朗読職人ノリスケ氏の『珍香』の一節が浮か
んで来ました。手を抜かない利休に相応しい最後まで熟考
尽くされた演出に込めた熱意が帰路に感じられました。
作品一点一点にまるで後光が差しているかのように
感じたのは私だけであろうか。居住まいを正す思いで、
帰って参りました。
この体験をベースに、今一度ノリスケ氏の朗読『茶の本』
全7巻に耳を傾けたくなりました。
新たな発見があるような気がしています。