ダンナからの数回の着信。
出なかったら留守電が入ってた。
「風邪ひくから早く帰ってきなさいよ」
「よく言うよ。心配なのはコドモだけのくせに・・・」
ワタシは心の中でそうつぶやいた。
母にも「いい加減、帰りなさい」と電話越しで言われ
どこか泊めてくれる人はいないか考えたけど
都内近郊にいる友達はみんな結婚してたり
同棲してたりして・・・
一人暮らしで受け入れてくれそうな人は思いつかなかった。
「仕方ない・・・・今日は雨だし、一晩家で過ごして、どこに行くかは明日また考えよう。帰りたくないけど、コドモに支障あったらしょうがないもんな・・・
」
そう思って一旦自宅に戻ることにした。
その頃にはもう身体が随分冷え切っていて、ぶるぶる震えながらエレベータに乗っていた。
「ごめんね、寒かったね」
こんなに大きくなっているわが子に毎日幸せを感じさせてあげられなくて、ほんとに申し訳なくて・・・
一旦おさまった涙がまたあふれ出したのをエレベータの中でぐっと拭って顔をつくった。
泣いてないフリをして自宅に入るために。
鍵は開いたままだった。
ドアを開けると、その音でダンナが玄関まで走ってきた
いきなりワタシを抱きしめ、「バカ風邪ひくでしょ
すぐ着替えなさい。オレの長袖貸してあげるから
」
ワタシは「いい。このままお風呂入るから」と言ってそのまま脱衣所へ。
冷たくしたかったわけじゃない。
コドモに何かあったらイヤだったから、早く身体を温めたかった。
お風呂出て、無言で寝る支度を整え、
ダンナはダンナでいつもの通り リビングでTV
見たいものが全て終わると「寝るよ」と言ってきた。
ワタシは自分が眠くなったときは
「先に寝るね」と言って自分だけ寝る。
ダンナは自分が寝るときは、ワタシが眠くなくても
一緒に寝かせる(←電気を消す・・・)
なぜワタシが家を飛び出したか。
何がイヤだったのか。
そんなの理解してくれるはずがない。
だから話すことなんてない。
正直一緒に寝る意味なんてないと思った。
もうヶ月以上セックスもしてない。
仲直りに抱き合うことだってありえない。
そんな人。
そんな風に何もかも諦めの心境で黙ってベッドに行くと
いつものように、腕枕が用意されていた。
ちょっと意外・・・
無用にケンカをする気もないワタシは普通にそこに寝る。
「まったくウチのママたろうは困ったママたろうだから」
と言われた。
ワタシは何も口にしない。何を言っても無駄だと決め込んでいるから。
そしてこれ以上争いを続ける気もないから。
ただひたすら自分を殺して我慢し続ければよい。
そうすればケンカってモンはすぐにおさまる。
表面上はね。
腹の中では「”困った奴”ってのはお前を言うんだよ」と思っていた。
無言のワタシに続けてこういった。
「で、困りママたろうはどこに行ってたの」
「・・・ 公園だよ」
「・・・ 困ったママたろうだね
ねぇ○○チャン
」
「・・・」 相変わらずダンマリのワタシ。
「まったく・・・困ったママたろうだけど愛してるよ」
そう言ってキスしてきた。
こんなの、予想済み。
てか、仲直りの常套手段っていうか・・・
素直さがないからこういう風にしか
接することができないのかもしれないけど・・・
どこまでいってもワタシを傷つけたことに対する謝罪の言葉は無かった。
彼の頭の中では、終わったことはチャラになるのだろうか
例えば万引きをして現行犯逮捕。
服役して出所後、店のオーナーに街で遭遇。
そのときに万引きした人間は、店主に謝る必要はない。
なぜならきちんと服役して更生して「終わったこと」だから。
もっとコトを大きくしてみる?
人を殺しました。
つかまりました。
20年服役して、反省しました。
もう二度と人を殺さないと誓います。
遺族に対しては今まで謝ったことはありません。
でもちゃんと刑務所で罪をつぐないました。
やるべきことはやりました。
しかも、謝ったところでその人は生き返りません。
これからどう生きるかが重要だと思うし。。。
だから遺族に謝罪はしません。
この例え話に「そうだ、そうだ」という人はいないでしょう。
確かに過去に起きたことは消せません。
謝ったからって、どうなるものでもないでしょう。
反省の気持ちをこれからの生活に反映させて
同じコトを度と繰り返さないのは、おっしゃる通り立派なことです。
でも、「謝ること」は絶対的に必要だよ。
そのコトバは確かに過去は変えてはくれない。
でもそのコトバがキッカケになるんだよ。
そこから未来が変わっていくの。
それがスタート地点になるんじゃん・・・