2012年2月11日。
日差しは明るいのだが、
まだ吐く息が白く、
ダウンを身に纏う時期。
開場までの時間を会場前で潰す。
今年初めてのライブは、HBD。
HAPPY BIRTHDAYの略で、今回は
藤重自身の年齢とあわせて、
観客は37人だけ限定のライブで
彼自身の誕生日を一緒に祝う
という趣旨のものだった。
最寄の二子玉川駅から徒歩圏内。
表通りから一歩入った場所に
会場はある。
今回はライブハウスではなく、
小洒落た隠れ家の雰囲気が漂う
カフェレストラン。
イベントを除けば、
ランチタイムにライブが
行われるというのも、
少人数の限定ライブというのも
初の試み。
会場前では見事にチケットを
確保できたファン全員が揃い、
それぞれに楽しんでいた。
12:30を少し回ったくらいに開場。
少し重めのドアを開けると
4、5人掛けのテーブル席を
メインに店内を完全貸切状態。
入口から1番遠い奥には
所狭しと並べられた機材たち。
通常ではありえないくらいの
近距離に興奮が募る。

パーティー…誕生日会形式なので
料理と飲み物が各テーブルに
運ばれる。
司会の呼び声と、
拍手で出迎えられて、
藤重政孝、登場。
テーブルの合間を縫うように
移動し、演奏スペースへ着席。
今回はパーカッションを
担当するやんさんとの
二人スタイル。
ここで、
機材のセッティングをしながら
事前に寄せられていた
ファンからの質問タイムになる。
笑いながら答えていく藤重に
会場内の空気が和み、距離が
縮まっていく。
次回のFC旅行の実施について
尋ねられると、いつだったらいい?
と意見を求めたり、
最近ハマっているものは
ジョギング、
人生初チャレンジしたいことは
ストリートライブ。
彼のホームグランド的な
二子玉川エリアでのオススメの
鮎ラーメンなど、ここでしか
聞けない質問に素顔が覗く。
誕生日が近かった
パーカッションのやんさんと
自分に向けてHAPPY BIRTHDAY、
の歌を少し照れを含んで歌うと、
続いて始まったのは
【窓際のシルエット】
軽快なテンポに自然と
手拍子が広がる。
あたたかい空気が辺りを包む中
MC混じりでセッティング。
【東京】。軽快なテンポで歌う
アレンジは、初めて聞いた時に
感じた切なさを追い越して、
成長したような余裕を感じた。
サラサラと砂が流れるような音と、囁くような鉄琴のイントロで始まったのは【rainy night】
続いて郷愁と、しっとりと
聴かせるナンバーが続く。
つまびくギターのシンプルな音。
時折重なるブルースハープ。
藤重の声に耳を傾けながら、
聞く者それぞれの大事な場所へと
想いを馳せる。
ゆったりした空気の中、
曲ごとのチューニングを兼ねた
MCでは花粉症のような症状に
悩んでいること、
最近始めたFacebook、
twitterと、話題が広がる。
結婚式で呼ばれることが増え、
新しい曲を作ることになったと
紹介した
【パパたちのバージンロード(仮)】へ。
花嫁の父親目線で作ったという
新曲は花嫁の誕生から
式当日までを振り返る父の心情に
シンクロするようなちょっと
せつないナンバー。
一呼吸おいてから藤重の
手拍子!
と掛け声があがると
テンポアップして始まったのは
【20CenturyBoy】
心地よいパーカッションの音色と
リズム。いつしか体を横に揺らす。
間髪入れずに、【SlowDown】に
サビでは、SlowDown!と声を
合わせて歌う。
ここでどうやら、予定より
少し遅れていたようで
宴もたけなわですけど、早めに
終わらせますね、と藤重が一言。
【いつものよう】に、と、そして【波】
どの歌よりも力強く、"生"の
イメージがある。
手拍子とギターの音が
波動のように体に響いて
満ちてくる。
伝えたいことって、なかなか伝えられないですね。
本当に感謝しています。
誕生日を迎えた時はちょうど
リハーサルをしていたんですけど
幸せな時を過ごせてるんだなと
思っています。好きなことを
やってこれて。この恩返しは何か
と思ったら僕がこれだ!と思える
曲をこの世に残せることだと
思うんで…これからもよろしく
お願いします。
そんな感謝の言葉の後。
「好きです、君のことが好きです」
そんな、どストレートな歌詞の
告白から始まる。
新曲【GERBERA】

外の寒さを忘れるほど、
あったかいラブソングで
締めくくられた。
終演15時前。
まだ明るい空の下。
ライブの余韻に浸り、尽きぬ感動。
時間を忘れてゆっくり友と
語れたのがとても楽しい
想い出になった。