酷暑が続いた先月の疲労が蓄積しているのか、昨夜は早めに就寝してしまったので、早朝の投稿をします。

 

 

 最近、改めて考えるのですが、毎朝ピアノを練習できる環境に恵まれていると云う事は、自分の日々の努力の成果もありますが、運の要素も相当あるのではないかと云う事です。

 

 特に仕事で成果を出さなければならないと云う義務感が無い事もあってか、練習が苦にならないのですが、その背景には、10代の頃の時代背景が深く関与しているのではないかと私は考えています。

 

 

 私は、1980年代生まれの30代後半で、幼少期にバブルが崩壊し、中学時代に金融危機の報道を多く目にしてきました。

 小学校で歴史を学ぶ際、日本は経済大国で物質的には非常に恵まれている経済発展のために公害が生じているので環境問題に配慮すべき貿易黒字による貿易摩擦が問題との趣旨の授業が行われていました。

 しかし、思春期、特に中学生や高校生の頃、戦後初の金融危機に関する報道が相次ぎ、近所の家族の大黒柱がリストラに遭ったり、近所の自営業者が倒産して引っ越して行く実態を目の当たりにする事になります。

 

 2000年前後の日本には、まだ高校無償化という概念が無く、経済的理由高校に進学できず、就職先も無く、中学校を卒業後15歳でフリーターになって家にお金を入れていた人もいました

 高校の同級生の中にも、在学中に親の経営する中小企業が倒産し、家を売り払って親の実家に引っ越し、本人も学業を継続できずアルバイトをしていた人もいました(その後、成人して資金を貯めて高校卒業認定資格を取得する人が多かったです。高認自体、高校に馴染めず中退した人が取ると云う概念よりも、90年代後半から2000年代前半にかけて経済的理由で高校卒業を果たせなかった人が「大検」とは別の目的で取得すると云う意味合いが強かったです)。

 

 大学進学に関しても、家庭の経済状況によっては、夜間(二部)に通い、昼間はフルタイムで働き、就労により得た収入を家に入れなければならない人も珍しくありませんでした

 

 奨学金制度云々以前の問題として、収入を家に入れて家族の生活費にしなければならない同世代少し上の世代がさして珍しくなかったのです。

 

 このような人たちが決して珍しくなく、私自身が高校に通い続ける事ができ、通学用定期券を毎回更新できる事が「当たり前」だとは思えなかったのです。

 

 それゆえ、義務教育でもない高校に通っていながら「勉強が辛い」「クラスの人が何となく嫌いだから休みたい」「大学受験がキツい」、このような言葉を発する事自体が贅沢だと云う認識のもと、10代後半を毎日過ごしていました。

 同時に就職難に関する報道が相次いでいたので、大学生になってからのアルバイト先でも、「仕事がキツい」「先輩が苦手」「疲れたから休みたい」、このような言葉を発すると、本当に「それなら辞めてください」と言われかねない状況(実際、シフトに入れて貰えなくなった人も大勢いましたし、アルバイトに採用されない人もいました)で、仕事にありつけるだけでも感謝していました。

 

 そもそも、義務教育でもない学業を続けられる事や、就労できる事について、自分の努力だけでなく、環境や時の運が大きく左右すると云う概念を持って生きてきたので、何かに取り組む時には愚痴を言わずに頑張るのは「当たり前」だと云う思考が染み付いているのです。

 

 学業ピアノの練習学生時代のアルバイト今の仕事も、楽な事ばかりではありませんでしたが、自分の意思で選び取ったからには、健康を害さない程度に真摯に取り組むべきだと私は考えていました。

 そこには、常に選択肢すら与えられなかった人の存在への意識が有りました。

 

 

 未成年の場合、進学も習い事も就労も自分の意思だけでは達成する事が困難な場合が多く、特に経済的理由や傷病理由で高校を中退しなければならなかった同世代もいる事実が未だに私の思考の片隅に存在するからこそ、選択の余地がある状態で愚痴や弱音を吐くぐらいなら、辞めた方がよいと感じ、ピアノの練習を止める事練習を続ける事とを秤にかけると、迷う余地なく練習を続ける事毎日選び続けているのだと思います。

  

 

 【本日のピアノの練習について】

 

 ・ツェルニー50番練習曲集 5番

 ・バッハ インベンション第1番 ハ長調(暗譜済)

 ・バッハ インベンション第2番 ハ短調(暗譜済)

 ・バッハ インベンション第3番 ニ長調(暗譜済)

 ・バッハ インベンション第9番 へ短調(暗譜済)

 ・バッハ インベンション第4番 ニ短調(暗譜済)

 ・バッハ インベンション第7番 ホ短調(暗譜済)

 ・バッハ インベンション第8番 ヘ長調(暗譜済)

 ・バッハ インベンション第12番 イ長調(暗譜済)

 ・バッハ インベンション第13番 イ短調(暗譜済)

 ・バッハ インベンション第5番 変ホ長調

 ・バッハ インベンション第11番 ト短調

 ・バッハ インベンション第15番 ロ短調

 ・バッハ インベンション第14番 変ロ長調

 ・バッハ シンフォニア第11番 ト短調(暗譜済)

  (※ここまでそれぞれ1~2回通しただけ)

 

 ・ショパン エチュードOp.10-4 嬰ハ短調(暗譜済)

 ・ショパン エチュードOp.10-12(革命) ハ短調(暗譜済)

 ・ショパン エチュードOp.10-5(黒鍵)

 ・ショパン ノクターン第5番 Op.15-2 嬰ヘ長調

 ・その他(スケール、アルペジオ、半音階、その他)

 

 今、ショパン ノクターン第5番エチュードOp.10-5(黒鍵)とを並行して練習しています。

 どちらも長調の曲で、練習を続けても暗い気分に浸る事があまりないのが有難い所です。

 

 浸水もせず、震災にも遭わず、自分でタイムマネジメントするだけの今の環境が今後も続く事を願いながら、本日も鍵盤に向かいます。