湿った生温い空気の感触に夏の余韻を僅かに感じ取りながら、秋の訪れを確かに感じた日でした。
デラウェアや梨を堪能すると秋の到来を視覚と味覚とで感じ取る事ができます。
さて、先月から暗譜すると演奏中に譜面を見なくても済む分、表現力に意識を集中させる事ができ、巧く演奏できる事が期待できるが故、暗譜が飛ぶ事を防ぐ練習法や暗譜が飛ぶ原因について考えてきました。
そこで、そもそもどのように暗譜したのか、再開後に初めて譜面を見て暗譜に成功した曲について振り返ってみます。
ピアノ再開初年度、他の曲を練習しながら再開から8ヶ月経過した時点(Op.10-4を本格的に練習して約1ヶ月半経過時点)でショパンエチュードOp.10-4をインテンポで止まらずに通せるようになった時、中間部の暗譜には自信がなく、弾きながら中間部だけ確認していました。
この頃、同時に英雄ポロネーズの練習もしていたので、1曲のみを練習していた時期というのは再開後は全く有りません。
完全にエチュードOp.10-4が暗譜できたのは、再開から約11ヶ月経過した時点です。
曲によって暗譜の仕方は異なるのですが、エチュードOp.10-4の場合、帰りに駅から自宅まで歩いている途中、無音状態の頭の中に1曲通して自分で曲を流し、同時にどの鍵盤をどの指で打鍵するか、体幹をどう移動させるか、イメージする事を毎日最低2回は行っていました。
これを毎日毎日帰宅途中に2回、就寝前に最低2回行う生活を最低3ヶ月間続けると、暗譜が成功しただけでなく、暗譜が飛ぶ事が今のところありません。
また、他の方の演奏を動画視聴する場合、手元は見ないと決めていました。
私の手とは造り自体異なるので、他の方の関節の動かし方を視覚情報として取得してしまうと、練習に支障が出ると判断したが故です。
この頃、毎日の練習時間は朝から90分間、基礎練習としてハノンやツェルニーに60分間を費やしていました。
とにかくメカニック的スキルが欠乏していては、鍵盤を打鍵する事すらできないと云う現実を見据え、この練習法を採択していました。
楽曲の練習は30分間程度で、その中に数曲を詰め込んでいた訳です。
そもそも、速い曲の場合、暗譜しなければあの速度で弾く事は極めて困難なのではないかと私は考えています。
【本日のピアノの練習について】
・ツェルニー50番練習曲集 5番
・バッハ インベンション第1番 ハ長調(暗譜済)
・バッハ インベンション第2番 ハ短調(暗譜済)
・バッハ インベンション第3番 ニ長調(暗譜済)
・バッハ インベンション第9番 へ短調(暗譜済)
・バッハ インベンション第4番 ニ短調(暗譜済)
・バッハ インベンション第7番 ホ短調(暗譜済)
・バッハ インベンション第8番 ヘ長調(暗譜済)
・バッハ インベンション第12番 イ長調(暗譜済)
・バッハ インベンション第13番 イ短調(暗譜済)
・バッハ インベンション第5番 変ホ長調
・バッハ インベンション第11番 ト短調
・バッハ インベンション第15番 ロ短調
・バッハ インベンション第14番 変ロ長調
・バッハ シンフォニア第11番 ト短調(暗譜済)
(※ここまでそれぞれ1~2回通しただけ)
・ショパン エチュードOp.10-4 嬰ハ短調(暗譜済)
・ショパン エチュードOp.10-12(革命) ハ短調(暗譜済)
・ショパン エチュードOp.10-5(黒鍵) 変ト長調
・ショパン バラード第1番 ト短調(一部のみ)
・ショパン ノクターン第5番 Op.15-2 嬰ヘ長調
・その他(スケール、アルペジオ、半音階、その他)
そこで、ショパンのバラード第1番についてですが、第138小節からの軽やかなステップを踏んでいるかのような箇所について、インテンポで練習していると左手の跳躍の難しさを感じ、まずは右手を全てインテンポで弾いてみて、右手が全て確実に弾けるようになってから左手は下記添付画像の赤枠で囲んだ箇所のみ弾くと云う方法を採っています。
エチュードOp.10-5(黒鍵)の左手の跳躍には慣れましたが、バラード第1番は慣れていないので、このパートは慣れが必要だと推測しています。
エチュードOp.10-5(黒鍵)の左手の跳躍時、自分では意識していなかったのですが、実は鍵盤をほとんど見ていないので、ほとんど見なくても鍵盤の感覚が身についた時には暗譜が完了していると言えるのかもしれません。
肝心なエチュードOp.10-4には、右手の跳躍やオクターブ連打が出現しないので、Op.10-5(黒鍵)は一番難儀した箇所は、実は第3小節の右手のアルペジオ部分(赤枠で囲んだ部分)です。
右手がインテンポで弾けても左手のアルペジオの速度がついていかないと云う苦難も有りました。
ノクターン第5番の場合、中間部をインテンポで弾ける(この曲を「奏でる」前にまずすべきことはインテンポで「弾く」事だと私は提唱します)ようになれば、内声の細かい部分の音は和音として全て頭の中に入っているので、暗譜はできているはずなのですが、現実には人前で左手の暗譜が飛ぶ事がしばしばあります。
そこで、左手のみ暗譜ができているか確認(Op.10-4でもこれは実践しました)する事は必須だと私は考えています。
暗譜が先か、インテンポが先か、判りませんが、音楽が頭の中に入っていなければインテンポで弾く事自体難しい曲(特に速くて音が多い曲)に関しては、インテンポで躊躇なく弾けるようになった時に自然に暗譜が完了しているのではないかと云うのが私の見解です。
そこで、暗譜が飛ぶことを防ぐには、「インテンポで弾けるようになるまで」の練習法を考えなければならないと云う事実に気付き、現在試行錯誤中です。