潔いほどに澄み切った青空の中に咲く芙蓉(酔芙蓉)の花です。
午前中は純白、午後は薄い桃色に色づき、夕方になるにつれて紅に染まっていく様が、「酔」の様子に似通っていると捉えられたのが命名の由来です。
或る時を境に色が変わりゆくのではなく、グラデーションのように切れ目なく徐々に移り変わりゆく様を見届けたかったのですが、物理的時間が許さず、途切れ途切れの写真となりました。
昨日から言及していた「拍感」について、私はこの酔芙蓉のように体に刻まれてしまっていることが先日のレッスンで明らかになりました。
クラシック音楽の場合、「拍感」がグラデーションカラーのように境界線が曖昧では誤った捉え方だとのことです。
そこで、時計の秒針のように、確実に時間は前へ不可逆的に進行しつつ、或る一定の時が来たら意識する感覚が重要なのではないかと私は考えました。
大雑把ではありますが、3拍子の場合は三進法、4拍子の場合は四進法の捉え方で以て1小節ずつ進んでいくことを想定すると解りやすいと思います。
しかし、ここで、1拍目を意識することを考えると、時計の秒針のように、全ての「刻むべき時」を平等に捉えるのではなく、強拍や弱拍についても考慮せねばなりません。
このような意識を持ちつつ、音楽的に「歌う」ことに困難を覚えつつ、本日もピアノの鍵盤に向かうのでした。
俳句や短歌になぞらえて考えてみたのですが、アウフタクトと字余りとの関連や、声に出して読み上げることとの関連とが私自身の中で釈然としない部分が多く、文字との相関と云う概念を一旦断ち切る事にしました。
【本日のピアノの練習について】
・ハノン 1~20番の中から10曲
・バッハ インベンション第1番(暗譜済)
・バッハ インベンション第2番(暗譜済)
・バッハ インベンション第13番(暗譜済)
・バッハ インベンション第9番
・バッハ インベンション第4番 (暗譜済)
・バッハ インベンション第7番 (暗譜済)
・バッハ インベンション第8番 (暗譜済)
・バッハ インベンション第14番
・バッハ インベンション第12番
・バッハ インベンション第3番
・バッハ シンフォニア第11番
・バッハ シンフォニア第8番
・ショパン ノクターン第20番(遺作)
・ショパン エチュードOp.10-12(革命)(暗譜済)
・ショパン バラード第1番(一部のみ)
・その他(スケール、アルペジオ、その他)
◆ショパン エチュードOp.10-12(革命) 両手ユニゾン部分の拍感について
まず、この曲は4分の4拍子です。
昨日言及した両手ユニゾン部分ですが、パデレフスキ版の楽譜の第5小節から見ていった場合でも、1拍目の意識を全く持たず、流れるようにサラリと弾いてしまっています。
余談ですが、この曲は今回のショパンコンクール予選にてよく演奏されています。
◆バッハ インベンション第3番について
8分の3拍子、アウフタクトです。
上記添付画像の赤枠で囲んだ部分が拍の頭(1拍目)、緑色で囲んだ部分がテーマ、などと考え出すと、正しい位置の鍵盤に触れるので精一杯になり、もう一度頭の中を整理する必要が有りそうです。
有名曲で言えば、ベートーヴェンの「エリーゼのために」もアウフタクトで始まります。
最近、「エリーゼのために」を練習する日が増えているのもアウフタクトへの意識に起因します。
有名曲の場合、様々な巨匠の演奏を耳にする機会が多く、それぞれの方の癖が先入観として植え付けられてしまう傾向に有り、初めて楽譜を開いて譜読みを始めた頃には、よく耳にしていた言葉を文字に書き起こしたものを目にして自分が音読し始めた状態に酷似しています。
ハロウィンで有名な台詞"Trick or Treat"を幼少期から耳にしていた外国人が、中学生になって初めて"Trick or Treat"が3語から成る言葉だと知り、字面を見るまでずっと1単語だと思い込んでいたと云う話を当人から聴いたことを思い出しました。
楽譜を見る前に、様々な方々の演奏をお聴きすると、このような弊害も考慮せねばなりません。
私の場合、「拍感」をニュートラルな状態に戻す為に、一切他の方の演奏を聴かないと云うのも一つの方法だと思えてきました。
日本語の全く同じ文章を音読した際、正しいイントネーション、フレーズへの意識であるにもかかわらず、間の取り方や抑揚の付け方については人によって微細な違いが有る事を考慮すると、ピアノ演奏に於ける「拍感」は、語学のイントネーションにおおむね該当するのではないか、と云うのが現段階での私の見解です。
「拍感」への意識を高めるために、3拍子、4拍子の平易な短い練習曲を毎日練習することを解決策として考案中です。
3日以内にツェルニー100番練習曲の中から数曲抜粋予定です。
2拍子を克服するのはまだ早いので、4分の3拍子と4分の4拍子から取り組む予定です。