幸せですか? | 菊と斧

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 斧

今はストーブは朝しか焚かないから朝にはほとんど燠が残っていない。

なので毎朝一から火を起こさなければならない。

 

 

木端に火を点ける。

 

 

マッチ一本で着火させられるとちょっと幸せな気分になる。

 

辞書を引いていたら、「幸」は「手枷」を描いた象形文字だとあった。

いくつかの漢和辞典で確かめると二つの説があった。

一つが「手枷」で「手枷をはめられる危険を危うくのがれたこと」から、もうひとつが「説文」の説で「夭」と「屰」からなり「夭折の逆」つまり「若死しない」からさいわいの意味になったと。

 

どちらが正しいのか、判定は白川先生にしてもらうことにした。

『字統』では「手枷」が正しいとしている。漢字の成り立ちからして「説文」の説は成り立たないとのこと。そして「罪人を執(とら)えることを執、報復刑を加えることを報という」などの例を挙げている。

 

まあ、我々にはどちらでもいいことではあるけれど、若死せずにいままで生きてこられたことは確かにしあわせだし、手枷をはめられるような境遇にいないこともしあわせと言える。

そう考えると欲張らなければしあわせであることはそう難しことではなさそうだ。