『My First HERO』72 | 木村春翔のブログ小説『My First HERO』

木村春翔のブログ小説『My First HERO』

「My First HERO」は自叙伝小説

その人は私の人生の良き先輩で、
私にとっては一番身近なヒーローだ。

My First HERO-72-

話は少しさかのぼって2月、梅子は大学の同級生一人から結婚するという報告を受けた。
梅子が一番仲良かった女子だ。

その後しばらく経って、二人でご飯を食べる機会があり、一度みんなで集まりたいという話をした。
3月に入って梅子はラインでグループを立ち上げる。
この時田岡さんを入れるか迷ったが祝い事、彼女を入れないわけにもいかず、グループに招待した。
しかし、ここからが問題で田岡さんはやたらと会話にしゃしゃり出てくるようになった。
いつの間にか話のまとめ役は田岡さんになっていた。

梅子としてはそれは気にくわなかった。

ラインを読んでいるだけでイライラした。別に誰が話を進めても良かったが田岡さんだけはゆるせなかった。

すごく人を憎いと思った。
自分でも驚くほどだった。

あまりにもの憎しみで苦しんでいたため、小野田先生が5月中旬田岡さんと話をしたらしい。
その時彼女はこう言ったそうだ。
「大学入学の初めてのガイダンスの時栗原さん友達いらないって言ったんです。」

梅子は唖然とした。
そんなことを言った記憶は梅子にない。
が、今更そんなこと言ったところで水かけ論。
しかし梅子はメールせずにはいられず、「なぜFacebookをブロックしたのか?」など具体的な質問をいくつか送った。
すると彼女の返信は、
「メールの内容の意味がわかりません。あなたの言動や行動は私たちには理解し難いものが多く、同級生みんな迷惑がっていました。」

梅子は結婚式の出席をあきらめた。
「私はみんなの迷惑になる。」

このメール直後、梅子は複数の同級生に連絡をとった。
「彼女は気が強いからね~。」
で終わらせる同級生もいれば、障害者として傷ついたことを伝えると、
「梅ちゃんは障害者として見て欲しいの?」
という回答もあった。

私は障害者だ。障害者たが栗原梅子という一人の人間でもある。
障害者はみな日常生活に何かしら差しつかえがあるから理解と支援が必要になる。
でも一人の人間としても尊重して欲しい。

梅子に回答は出なかった。