その人は私の人生の良き先輩で、
私にとっては一番身近なヒーローだ。
My First HERO-54-
ゴールデンウィーク明け、梅子に彼氏が出来た。
相手は後輩の一年生。きっかけは歓迎会の飲み会だった。
梅子は飛び上がるほど嬉しかった。
これでこれまでの空虚感や孤独感が埋まる。
長続きさせたい、そう思っていた。
しかし現実は甘くなかった。
「俺たちはいずれ別れる。」
付き合い当初から彼がよく言うことばだった。
彼はネガティブで疑心暗鬼なところがあった。
その度梅子はなんとか彼の心の穴を埋めようとしたが、若さゆえか機嫌に波があり梅子の言動一つで一気に不機嫌になることもあった。
それでも梅子は彼にしがみついた。
またあの空虚感と孤独感の詰まった心の部屋に戻りたくなかった。
だがとうとう、
「別れてください。」
梅子は言われてしまった。
梅子は泣いて泣いて頼んだ、「別れたくない。」と。
しかし相手は折れなかった。
「まぁ、彼最初栗原さんを支えようとかなり意気込んでたからねぇ。」
小野田先生の研究室。
梅子はなんでも小野田先生に相談していた。
「意気込んでたから、心配だったのよ。彼が限界くるんじゃないかって。治してあげよう、支えてあげようってなるとどうしてもうまくいかない時やきもきする。彼の心の負荷が大きくなって結果爆発って感じかな。あとやっぱまだ彼若いよ。今の栗原さん支えるなんてムリだったかも。」
「まぁ、恋愛ごっこが終わったと思って。」と付け加えられて話はおわった。
交際期間1ヶ月半、あまりに短かった。
しかしここで梅子の「見捨てられ不安」が顔を出した。
梅子は復縁を考えていた。
佐久間の『もうやめろ!あいつには関わるな!』という制止を振り払っての行動だった。
メールだけだったが彼が梅子をストーカー扱いし、これでやっと梅子も爆発。
恋は終わった。
しかし地獄の日々はここから始まる。