学童でコロナ出て、3日間
学童が閉鎖になった
学童がないと、1年生は
普通に3時頃下校となる
たまたま仕事のシフトも入って
なかったので助かった
通学路の途中まで迎えに行く
…のだけど、この日はいつもより
2、3分家を出るのが遅れてしまった
たった2、3分
この事が後で大変な事になる
妊婦なので走る事もできず、
のろのろとゆっくり向かう
きっとどこかで娘と出会えるはずだ
娘は、途中まではもう1人の同じ
1年生の男の子と一緒に帰ってくる
のだけど、その子と別れた後は
1人になってしまう
学童がない時は、その別れ道辺りまで
保護者が迎えに出る事になっている
3時…3時半を過ぎても娘は来ない
おかしいな
どこかで入れ違いになった?
嫌な予感がして、学校に連絡した
私「娘はもう下校しましたか?」
事務員「…(確認後)、下駄箱にもう、
靴がないので…おそらく下校されたかと」
私「そうですか…」
最近、嫌なニュースがあったばかり
不安な気持ちに襲われた
娘はどこに行ってしまったのか
下校時間から30分以上経っている
すると、学校から担任の先生が
やってきた
担任「(娘)さん、今日はいつもより
少し早く帰ったみたいで…、ちょっと
もう一度学校に連絡してみます!」
スマホ片手に慌ただしくする先生
そんな先生を遠目に私は
(どこに行ってしまったんだろう…
事故…事件…連れ去り……
ああ…息子を失って、今度は娘まで
失ってしまうのかな……)
と、なぜか慌てる事もなく、ただただ
落胆し、どこか冷静に佇(たたず)んでいた
しっかりしろ、ちゃんと考えろ
冷静に考えれば、分かるはずだ
その日はたまたま、歩道に交通調査の
おじさんが2人程いた
とにかく、その人達に聞いてみよう
私「すみません、3時頃、小学生の
女の子がここを通りませんでしたか?」
おじさん「通りましたよ!確か…
小さい女の子が1人で!ランドセルは
ピンクか紫か…ちゃんと挨拶してね!」
娘のランドセルはピンク色だ
挨拶した事と、見た目の印象で
覚えててくれた
娘は1年生にしては身体が小さく
1人で歩いてたら目につくだろうから
そして、もう1人のおじさんにも聞くと
「この道を確か、真っ直ぐ行きましたよ」
と、教えてくれた
それを聞いた瞬間、私と担任は
思わず「え!?」っとなった
道を間違えてる
家に帰るなら、横断歩道を渡らなければ
いけない
私が2、3分遅れた事と
娘が少し早く学校を出た事で
行き違いになってしまった
担任「とにかく私は真っ直ぐの道を
行ってみますから、お母さんは一度
自宅へ戻ってみて下さい
もし、帰ってきてたら、学校の方へ
連絡して下さい」
私「はい…分かりました…」
担任「それから、
お母さん、妊娠されてますか?」
私「は、はい…」
担任「では、慌てず、歩いて下さいね」
妊娠してる事、まだ言ってなかったけど
まさか、このタイミングで公表する事に
なるとは
担任の先生は私なんかよりよっぽど
冷静で的確な指示をしてくれて…
本当にさすがだな、と思ってしまった
家に帰ったら、自転車に乗って
探しに行こう…妊婦だけど、そんな事
言ってられない
そんな事を考えながら、もしかしたら
家に帰ってるかもしれないと思い、
アパートに着くなり娘の名前を呼びかけた
…返事はなかった
(やっぱり、帰ってないよな…)
そう思って、玄関のドアを開けた瞬間
娘のピンク色のスニーカーが目に入った
(え……か、帰ってる……?)
娘の名前を呼びながら家の中を探すと
娘が寝室から出てきた
娘「ママ、おかえりー」
本当にこの瞬間まで
生きた心地がしなかった
手は震えて
まだ心臓がドキドキしていて
急いで学校に電話した
途中まで一緒の男の子の保護者にも
連絡していたので、LINEで見つかった
事を報告した
全ての連絡を終えてから、
安心したのか、涙がポロポロ
こぼれた
後で娘に聞くと、いつもの帰り道を
通り過ぎて、信号も横断歩道もない
道を1人で渡って家に帰ったらしい
私が慌てて家を出たので、家には
鍵がかかっていなかった
娘は自力でドアを開け、家の中に
入れたらしい
何事もなくて本当によかったけど
これは完全に自分の責任だな、と
思った
もっと余裕をもって家を出ていれば…
娘と行き違いになる可能性を
「まあ、たぶん、大丈夫だろう」
と、軽くみてた事…
そんなわずかな油断でこんなにも
大事になってしまったのだから
それに、娘が渡った道は車が
ビュンビュン走る国道だった
交通事故にあっていても
おかしくなかった
日常の中には、思いもよらない
危険な事が、本当にたくさん潜んでいる
それを回避するためには、大人が、親が
普段から気をつけて、子供をみてないと
いけないし、大事に至らないのは、
そうやって守られているからだと思う
息子を失ってから、そういう事に
過敏になってたはずなのに
気をつけすぎるぐらい
気をつけてたはずなのに
人間は同じ過ちを繰り返す
生き物だ
連日のニュースで、高齢者は
危機管理能力が低い、と散々
言ってるけど、
自身、人の事は言えないな、
と思った
年齢に関係なく、やっぱり人間は
どこか、心の隙があるものだから
その日の連絡帳には、担任の先生へ
詫びのメッセージを書いておきました