何の為に、誰の為に税金をとっているのか | gaijin_no_honneのブログ

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デンマーク人のキム・ペーダセンのブログです。外国人の本音。政治、経済、宗教、教育、哲学、音楽、ジョーク、文化、常識、習慣、日本とヨーロッパの違いについて。

デンマークでは61歳の男性が亡くなり、国と亡くなられた方の遺族との相続に関する裁判が行われた。61歳の男性は独身で彼に子供はいなかったがいとこが何人かいた。デンマークの法律上、いとこは遺言状に載っていない限り相続は出来ない決まりになっている。そのため国はいとこへの相続を認めず残されたものはすべて国が相続する(取り上げる)権利があると主張し取り上げた。いとこ達は裁判を掛け、最初は勝ったが、国が結果を認めず最高裁に控訴したところ、今度は国が勝った。



この件に関するデンマーク語の新聞記事はこちらから:



http://jp.dk/indland/article2733866.ece 



最近のデンマークではこのような国/税務署の判断が目立つ。何の為に取り上げている税金なのか、誰の為に取り上げているのか、国は再度考え直す必要があるような気がする。元々いとこが相続出来ないという法律は国民から出来る限りの税金を絞り上げる為の悪質な工夫以外の何でもない。



最近では民間企業の相続税に関しても新政府(去年の9月に政権交代から)が意味不明な厳しい税金を掛けている。民間企業の社長が亡くなり子供が相続した時点で会社の価値の46%を税金として納めなければならないという無茶な法律を作った。多くのデンマーク民間企業はこの法律が作られるという事を聞いた時点で実行されれば海外移転を実行すると決めている。中にはデンマークに大きく貢献している企業がいくつもある。海外移転が決まれば多くの職場が失われそれこそ国の税収が減る。仮に数百億の価値があった企業を子供が相続したとして46%の税金を払えと言われても払えるはずが無いのは誰もが分かるだろう。というか、デンマークの政府には分からないのだろうか。疑問に思う。



個人的には過去に何度か税務署と喧嘩した事がある。デンマークでは税務署が間違っていると思えばクレームを出すのだ。私の場合、まずは弁護士に見て貰った。弁護士は私が正しいと判断した為、税務署の取り立ては不正だという結論に達し税務署にはその旨伝えた。しかし、税務署は弁護士からの書類は完全無視し自動処理で勝手に税金を取り立てた。頭に来た私はその対応に対してクレームを出した。税務関係ではデンマーク国内の最高機関である機関にクレームを提出した。その機関からは税務署は裁判で結論が出ていないにも拘らず勝手に税金を取り立てる事は極めて問題だと書類で出したものの最終的には税金を取られてしまい何も出来なかった経験がある。



 



人を踏みにじってまで税金を取り上げたいのかと思う。何のために取り上げている税金なのか。誰の為に取り上げているのか。再度考えて欲しい。



 



でもデンマークは福祉がしっかりしているから。。。と多くの人はいう。福祉のレベルを維持する為に税金が取り上げられている。仕方が無いだろうと。



そうだろうか?福祉の質はこの5年、10年、いや20年は低下し続けてきた。果たしてデンマークには世界のお手本になるようなものが残っているのだろうか。最近では失業手当はそう簡単には下りなくなった。個人的には自営業を閉鎖した後、貰えるはずだった失業手当を5ヶ月間も貰えず結果ホームレス届を出した事がある。それでも失業手当は下りなかった。組合からは仕事を取ったら間違いなく失業手当は下りなくなるため取るなと言われながら持ち物をすべて売り払いながら家賃を支払ってきたが最終的には持ちこたえられなかった。



 



高齢者からも掃除などのお手伝いは質が下がったと良く聞く。起業家(自分を含め)はお金が借りられない、事務処理の負担が多すぎるなどのクレームからデンマークから去っていく。多くのシンクタンクからも同じような忠告が出されている。この10年、20年、ずっと同じ話を聞き続けてきた。そして福祉の質の低下を経験してきた。でも少なくとも病院は無料で生活して行く上での最低限の保証はされていると思われているようだが、そうでも無くなりつつある。海外と比べてデンマークの病院は最近かなり質が下がっている。



その一方、国民から取り上げた税金は銀行への補助金として平気で何兆円と政府が出している。規模が違う。厳しく取り立てる時の細かさと、これは「正義の目標」であると決めた時の税金の使い方の大まかさ。物凄いギャップを感じる。ギリシャへの補助金も国民には何も質問せずにEUに言われたがままに払っている。政治家の取り上げた税金に対する責任感が麻痺しているようだ。税金の使い道がしっかりしていれば国民は税金を取られてもクレームはあまり出さない。しかし取り立て方法が厳しく、使い方が雑だと許せなくなる。多くのデンマーク人が税金を誤魔化すのは良く分かる。確かに税金を誤魔化すのは犯罪だ。しかし、今の政府の税金の取り立て方、お金の使い方は犯罪ではないのか?



25%
の消費税如何なものか。民間企業でも物を売って25%儲けている企業はそれほどない。しかし国は何の努力もせずに25%が自動的に入って来る。そのお金がマトモナものに使われれば文句も言い辛いのだが。



 



日本はこれから消費税増税が始まる。しかし税金の取り過ぎは国民の国に対する反感を生み出す。少なくとも震災後の日本の復興にお金を使えば、福祉にお金を回せば、一部納得行くだろう。しかし賄賂やその他の不祥事が絡む事は間違いないだろう。貧しい国民から税金を取り上げるのなら、責任を持って使って欲しい。それが出来ないなら国民が税金を誤魔化したりしてもクレームは出せないはずだ。



「幸福度No1のレシピ」にも取り上げたが、デンマークは幸福度の非常に高い社会の作り方を世界に示して来た。しかし、残念ながら途中で何のための税金なのか、誰の為の税金なのか、忘れ去ってしまったと思う。税金はただ取り上げれば良い物では無い。公務員や政治家も自分のお金ではないから好き勝手に使って良いものでもない。一般市民から相続税を無理矢理取り上げる国は「野蛮」以外の何でもない。300年、400年前、いやひょっとしたらもっと古い時代と代わりないかもしれない。形が変わったに過ぎず、人間は同じ…



 



「幸福度No1のレシピ」はこちらから



 



http://mx2.jp/pub/shuppan.htm