こちらの作品は私のオリジナル作品です。
他サイトで投稿しているものをこちらで載せています。
盗作では有りません。
ポケクリとこちら以外で見かけた方は御一報下さい。
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「…………若旦那」
榊原が、静かに呟く
それに呼応するかのように、伯真は視線を向けるも、すぐ奥にいる伊里早に視線を戻す
「……………お久しぶりですね
伊里早の旦那……………」
伯真は、力なく、小さな声で言い放つ
「ほんに久しぶりですな?
仕事ほっぽって遊びに行くとは…………旦那も大きくなりやしたなぁ?」
にっこり笑いながら話すも、言葉が刺々しい
伯真は、苦笑いして受け流す
髪はボサボサ、衣服は今起きがけのように着崩れている
「……………こんな真っ昼間から何処へ行きなすっておいでで?
随分寝乱れておるようやけど…………」
「………っ、別に疾しい事はしていないっ!
友人の家で寝かせて貰っていただけだっ!」
伯真は、キッと伊里早を睨みながら言い放つが、伊里早は、ふん…………と鼻を鳴らしてこちらをみる
「…………まぁ、なんとでも言えますよ…………
寝ていたのなら、起こして悪うござんしたなぁ?
なんなら、呼びになんぞ行かせんほうがよかったか?」
「……………っ、何が言いたいんですかっ!」
伯真は、スッと伊里早の前に立ちながら怒鳴る
「あんたは怒る立場かいな?」
「…………っ、」
伊里早の言葉に、伯真はグッと詰まる
「…………何処から聞いていたのか知らんけど…………夕蘭は今、泣き疲れて寝とる
後からきた分際で、大声張り上げて、夕蘭の眠りを妨げてんやないよ」
「…………寝てるのですか?」
伯真は、不思議そうに言い放つ
「……なんや…知らんかったか?…ほんま何処から聞いとった?」
「夕蘭の姐女朗の死については、話はあったはずや…………からです」
「ほんま最後のほうやったんやな?
しかし、そこを聞いていたんなら、直ぐに中に入ってくればええやないか
声かけんかったら、あのままずっとあそこで立ち聞きしとるつもりやったんか?」
伊里早は、じっと伯真を見つめながら言い放つ
しかし、伯真は、拳を握り締めるだけで、何も発しようとはしない
伊里早も、それと同じようにただただ、じっと伯真の言葉を待つかのように黙り込む
「…………若旦那………何かおっしゃったらいかがですか?」
左側に正座をして座り込んでいた榊原が、静かに声をかける
「…………余計なことはしなさんな番頭はん」
「………伊里早様?」
榊原の行動が気に入らないのか、伊里早は八の字に眉を作り上げて言い放つ
榊原は、自分の何が不機嫌にさせたのか、皆目検討がつかずに首を傾げる
「さっきも言うたと思うが、あんた方は揃いも揃って旦那を甘やかし過ぎですわ
小さな子供やおまへんのやから、一々こっちで話を促す必要あらへんやろ」
「…………しかし、話にくいのではいつまで経っても…………」
「話にくいんやったら、話す度胸がつくまで付きおうてやるわ
夜は長いし明日もある
いつまででも俺は待ってるで?」
榊原を向いて話すと、最後は伯真に言い聞かすように言い放つ
「……………若旦那
言いたい事あるんなら、はっきり言ってほしいなぁ?
黙って周りが聞くん待ってたって…………なんも意味ないで?」