こちらの作品は私のオリジナル作品です。
他サイトで投稿しているものをこちらで載せています。
盗作では有りません。
ポケクリとこちら以外で見かけた方は御一報下さい。






「澄舞はな?


前にいっとったんよ


夕蘭は、あちきといては命落としてまうってな?」


「……………っ、なんで?」


「…………覚えとらんか?

お前が、肩に傷を負った日の事を…………


澄舞が、変なやつに付けられとるいう話した翌日


帰り道で、刀もった男に切り掛かられそうになった



だが、実際切られたんは…………夕蘭



お前やった…………」



伊里早の旦那は、ゆっくり身体を離すと、私の顔を見つめてくる


肩の傷


忘れるはずがない


この傷は、姐さんを守れた立派な証


今は近くで見ないとよくわからない程傷は目立たないが…………



「…………澄舞はな?

そん時、本気で発狂しそうになったんよ」


「……………え?」


「…………お前は、痛みで気ぃ失ってたから、そのあとのことわからんやろけど……………


たまたま、切られたんが赤潮の前やったから、直ぐに対処できたんやけど……………


あれが、お前ら2人だけで、周りに助けが呼べん状態やったら、澄舞の心は、完全に壊れとった…………


そんでなくとも、血で染められたお前をきつく抱き締めて、何度も助けてくんしと、泣き叫んでいたんやから……………」




伊里早の旦那は、顔にかかった髪を、左右に分けながら、大きな手で両頬を包む


「…………無事目が覚めたお前を見た澄舞はな?


この娘は、あたしらの代わりに命削って死んでしまう人間なんや


死なせんためにも、余計な心配事は話さん方がええかもしれん…………て言うてたんや


せやから、今回の事やって


お前が犠牲になってしまわんように……………胸の内にしまっとったんやないかな?


お前の幸せを第一に考えて………………」


にっこり頬笑む旦那


私は、漸く収まりかけた涙を、また滝のように流しだした





嫌われとったんやない…………



心配、しとったんやね?



「……………うっ、うぅっ………ぁねっ…………さ…………あぬさ………」


私は、伊里早の旦那の脚の上で、泣きじゃくった




澄舞の姐さんを、呼び、心の内で謝りながら………………