こちらの作品は私のオリジナル作品です。
他サイトで投稿しているものをこちらで載せています。
盗作では有りません。
ポケクリとこちら以外で見かけた方は御一報下さい。
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「……………若旦那?
とにかく今日は、私の寝屋でお休み下さい」
屋敷に着くと、榊原は私を、榊原の部屋に横にしてくれた
「…………すまない」
私は、横になりながら、力なく礼を言い放つ
「…………若、何があったんです?
少しでもいいですから、話してくれませんか?」
榊原は、私の額を覆う前髪を横に掻き下ろしながら聞いてくる
だが、私は『なんでもない』と、榊原の手を、軽く手で横に押し払う
榊原に話した所で、どうにもならない
言っても、榊原に注意された夕蘭が、また義務的な言葉を連ねるだけ
そんな言葉はいらない
欲しくもない
言って欲しくもない……………
聞きたいのは、夕蘭の愛ある言葉だけ………………
それ以外は何も欲しくない……………
何も………………
欲しくないんだ………………
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
最近、やはり若旦那の様子がおかしい
あんなにも成を出して取り組んでいた仕事にでさえ、まるっきり出なくなり、どこかへ遊び回っている始末
「…………ほんに、何を考えているんや…………」
発注を終え、一息つく為に中へ入りながらぼやく
なかなか捕まらなくなった旦那の代わりに、女将である私が、引っ張りだこの状態になっていた
『…………若は、あなたを好いています…………』
数日前、榊原が放った言葉
今思い出しても、とんでもない事を言い放ったものだと、つくづく呆れてしまう
しかし、若旦那の気持ちを知ったからと言って、なんら感情は沸きはしない
しないのだが……………
「…………最近の若旦那は目が離せん」
頭を抱え、トントンとテーブルの上を叩きながら、そう口にする
食事もあまり摂らなくなり、段々目に見えて痩せてきたことが容易にわかるようになったし、
飲めない酒を無理に煽っているためなかなかよけいに寝つく事が出来ず、隣で何度も寝返りをうっているのが気配で伝わるこの頃
しかも、ここ2・3日は、部屋にも帰らなくなり、どこかで寝泊まりしているようす………
別に何処ぞの誰と、寝泊りを共にしていようが関係ないが、今の若旦那は誰が見ても不安定な状態…………
変な気でも起こしてよからぬ企てを考えなければいいが…………