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「………わかりました、ほんならこれを………」


「若女将、ちといいですかい?」

番頭の榊原が、ちょいちょいと手招きしながら、控えめに呼ぶ

「………ちょいとすんません、あとはこちらで確認とります

なにかありましたら、ご連絡いたしますので、これにて」

「わかりました、よろしくお願い申し上げます」

取引先商人の客を帰し、榊原のもとへ足を運ぶ

49日が過ぎて数日、商いのやり方はいまいちわからないが、それなりに構えでができるようにはなってきた


店の従業員達とも、今ではそれなりに会話もしている


「………どないしました」


傍まで行くと、榊原は付いてこいとでも言うように、前に進む


裏庭の細い道

自然と後ろを付いて歩く形となる

「………どこにいきますの?榊原さん」


目的地も何も言わずに、ただ進む榊原

どことなく不安が募る


「………女将さんは、若をどう思っておりますか?」

「…………なんですの急に……」

唐突に聞かれ、意味が分からず少し強い口調で返す


「……いえね、随分私らと、若に対する態度があまりにも違うんで、どう思ってるのかきになりましてね?」


どうぞ、と言いながら、一つの茶屋の中に促され、仕方なく入る


「………態度が違うて、なんのことです?」

奥の座敷に座りながら、問い返す

榊原は、向かいあう形で正面に腰を下ろす


「……女将さん、あんた、若と話すときなんで壁造って話す?」

「壁?」

「そです。分かりやすく言うなら、まったくの無表情、刺々しい言葉………私らと話すときは、きっちり表情変えて抑揚ある話してるのに、若の前だと、そんな感じで話している」


運ばれてきたお茶をすすりながら言う


なんやろこの人、腹立つ


「そうですか?そら気付きませんでしたな?なんぞ、支障でましたか?」


声色を多少変えて言い放つ


なにが言いたいのかさっばりわからない


「おおありだ。

旦那の我慢が限界にきて、私らに当たりまくりなのさ

取引にも、多々間違いが生じてきてる」



「……………」


それを聞いて、呆れてしまう


名を覚えることも出来ない

商いもできない

とんだ不様な若旦那だ…………


「………それはまた、大変ですな
商いが出来んからと人様に当たるなど、人の風上にも置けない」

「………それは違いますよ女将さん

若は、きちんと仕事をこなす立派な人だ

そんな若を、ボロボロにしてるのは、あなただ」


私の言葉に、カチンと来たのか、榊原の口調が少し荒くなる


「私が、なんで関係してますの?へたな言い掛かりはやめていただきたいですな」


私も、こちらが悪いと言われて、頭にきた

睨みながら言い放つ