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「………奥様に、何か言われてるんですか?」

喉が乾いたと言い、持ってきたお茶を私の所と、自分の目の前に置くと、唐突にそう聞いてきた


「…………なぜそう思う」


「………無理しているようすがまるわかり………

名前にしても、一緒に並んでいても、伯真の表情が浮かない顔をしている」


さすがは、商人と取引をしているだけあって、観察力は鋭い


苦笑するしかない……………



「………蘭は、私に本当の名を呼ばれることを、嫌っているのさ


身請けした日に、相手方の旦那の前にも関わらず、嫁いだら自分の名は蘭だと言ってきたぐらいだからな?」


「…………そりゃまた………どうして名を替える必要があったんでしょうね?」

榊原は、茶をすすりながら聞いてくる

その問いには、私も納得いっているわけではないから、答えようがなく、腕を組んで榊原を睨みながら口を開いた


「………………そんなこと私だって知りたいくらいだ…………


時々、本当の名を呼びたくて、忘れた振りして呼ぶと、酷く冷たい声色で、訂正されてしまうし、二人で居間にいても、会話と言う会話はしない………いや、しないのではなく、させてもらえないんだなあれは……………
あるのは、抑揚のない接待
ありきたりな会話と行動


夕蘭が何を考えて、何を思っているのか…………俺にはさっぱりわからない…………」


膝をつきながら、遠目で呟くと、榊原は、「なんとまぁ………」と苦笑している