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「………旦那、何をそんなに不安がっているんです?」


「…………?何も不安がってない」


奥の間に誘われ、私は榊原と向かい合う形で座らされ、そう問いかけられた



急な問い掛けに、私は何のことかまかりかね、首を傾げてしまう


「………はぁ~~~――――」


榊原は、そんな私を見て、息が全部抜けてしまうのではないかと言うぐらい、長いため息をつく

「…………自覚していないのが一番やっかいですね」


「……………なにがだ?」


いまいちわからず、余計イラついて仕方ない


言いたい事があるなら、はっきり言って欲しい



「…………質問を変えやしょう。

旦那は、今まで、恋をしたことはありますか?」


「…………恋?………」


言われて、考えてみるも、そんな気配を感じた事は一回もない


それに…………


「………恋をする前に、相手方からの一方的な求愛が激し過ぎて、好きになる気持ちさえ沸いてこなかったよ。

目障りなだけだ」


今までの事を思い出し、吐き気を覚えてしまう




家柄、家名、若旦那の肩書きしか目になく、我先にと言いよる女達


そんな女達と、恋をするなどと、考えた事もなかった



「…………では、奥様にたいしては?どうですか?」


「………蘭?」


「そうです。奥様には、今、どんな気持ちを抱いていますか?」


「……………」


榊原は、幼い頃より、兄弟のように育ってきた同胞


だが、そこまで話していいものか、迷う所があった



しかし、榊原は、「正直に教えて下さい。誰にも言いませんから」

と、答えを求める