こちらの作品は、ポケくりにて公開中の作品です。盗作ではありませんのでご注意下さい。また、著作権は私にあります。似たような作品がこざいましたらご一報下さいませ。




「…………夕蘭」

伊里早は、苦渋の顔で名を呼ぶ


「…………復讐は………考えたらあかん………」


「……………だんな?」


「……………夕蘭、お前は、もう身請け先の若女将



自分の店を潰すような事はがんがえたらいかんで?」



祈るような声で、伊里早は言う



夕蘭は、それを聞いて、ふっと笑うと、伊里早を見つめる




「…………そないなことはわかってます。心配せんでも、キチンと姐さんの代わりに、務めは果たしますよ………………?」



「…………そんならええが………復讐しても、あいつは帰ってきぃひん。

あいつの分も、お前がキチンと生きひんと………自分責めてまうで?あいつ…………」



それを聞いて、伊里早は、安心したように言う。夕蘭は、コロコロ笑いながら、聞く



「…………そうですな。そないなことしたら、それこそ姐さんに、お尻たたかれて、飯抜きにされてしまいますわな……………」


いつも、叱られていた頃の事を思い出しながら、夕蘭はつぶやく





「戻せるなら…………姐さんが生きとった時間に…………戻したいどすな…………」



その言葉を最後に、夕蘭はゆっくりその場を立ち去った…………



「夕蘭…………」


伊里早は、夕蘭の背中を見つめながら呟き、すいっと目の前に視線を戻す


「朝霧、夕蘭を見守ってくれよ?
バカなことを………しないように」



切に………………そう願った……………