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「……八朗、言わせてもらうが、皆がみな、遊亭処の出だからと言って、明くる日毎晩床に就くというわけではないだろう?

私らは、蘭をただの遊亭処の娘として受け入れたわけじゃない

殿様にも認められているこの店の、新たなる若女将として受け入れたんだ


遊ぶだけに連れ合う夫婦ではない


一緒にされては困る…………」



「…………すんません」


八朗は、余りの伯真の気迫に、引きつった顔で頷く


しかし…………はた……と思った

「…………旦那、旦那の奥様は、夕蘭と言う名ではなかったですか?さっき…………蘭て……愛称ですかい?……」

不思議そうに問う


「…………夕蘭だが………本人の希望でな…………………嫁いだ日から、蘭と呼ぶように強制されいる」


力ない、悲しげな顔で言い放つ


八朗は、そんな伯真の姿に怪訝な顔をしながら、背中を叩く


「………飲みにいきますか。久しぶりに」


「………いや、今日は「旦那、」………」


やめておくと言おうとして、八朗に止められる


「…………たまには息抜きも必要ですぜ?行きやしょ?」


「…………八朗」


伯真は、そんな八朗の姿に、苦笑しつつゆっくり頷いた