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「夕蘭っ!」




ドタドタと、忙しなく人が上がってくるのと同時に、勢い良く名を呼ばれる



「…………伊里早さん



どうしたんぇ?そんな息切らして」



私は、机に向かいながら問い掛ける



伊里早さんは、私の仮の身請け人


赤潮の一番信頼に当たる人物



「…………っ、早ようっ赤潮にいきんしゃいっ!」


「早ようって…………



いったいどうなすって……………」



「澄舞《すま》の姐さんがっ


たった今遺体で見つかってん!」



「…………………いま、



なんと?」




私は、どくんと心臓が跳ねあがるのを感じながら、問い返す




「さっき、蓬田川の下流あたりで、遊女らしき女が見つかった言うとって、旦那が確認しに行ったんや


澄舞の姐さんやったらしい!」








「……………嘘や





うそやっ!」




私は、夢中で赤潮に足を走らせた



嘘や嘘や嘘や嘘や嘘や嘘や





嘘やよなぁ?姐さん……………










「……………姐さんっ!」




バタンっ!と扉にへばり付きながら赤潮の裏庭に入る