建設業の10~12月の死亡労働災害事故件数が、2023年までの5年間は北海道が都道府県別で最多だったことが、北海道労働局の集計で分かった。この時期は建設業にとって、降雪で本格的な工事ができなくなる前の「追い込み期」に当たる。焦りなどが原因の労災事故もあるとみられ、労働局が建設業者や工事の発注者らに注意を呼びかけている。

労働局が19~23年について集計したところ、10~12月の死亡労災件数は、道内が32件で最も多かった。2番目に多い東京都は19件、3番目の愛知県は16件だった。東京や愛知の方が建設業で働く人は多いが、10~12月の3カ月に限った死亡労災の数は、道内が突出して多かった。この5年間の1~12月の件数は、北海道が合計83件で東京都は98件だった。
 道内は1月以降、降雪、積雪で屋外作業が難しくなる。このため建設現場では10~12月に多くの工事を済ませようとする傾向がある。労働局安全課の衲(のと)裕美主任安全専門官は「日没の時間が徐々に早くなる中、年内になるべく本格的な工事を終わらせておきたいという焦りが、死亡労災の発生につながっているのではないか」と指摘する。
 22年11月に道内で発生した用水路工事中の事故は、深さ2.5メートルの溝の側壁が崩れ、作業員が土砂に埋まって死亡したが、一定の時間がかかる崩壊対策は講じられていなかった。工事現場に向かう途中の交通事故なども10~12月期に増える傾向があるという。
 「追い込み期」の死亡労災を減らすため、労働局は今月25~31日を建設安全週間とし、工事現場のパトロールなどを行う。公共工事を発注する北海道開発局や北海道建設業協会などの業界団体にも協力を依頼。建設業者には安全対策の確認などを求める。
( 牧内昇平 )

2024年10月19日 19:00(10月19日 21:01更新)北海道新聞どうしん電子版より転載