17日公表された今年の北海道の基準地価(7月1日時点)で、札幌市の住宅地と商業地の平均価格は12年連続で値上がりした。住宅地は地下鉄駅周辺の人気が堅調だったほか、石狩市に近い北区の郊外も上昇率上位に入った。商業地は北海道新幹線の延伸やインバウンド(訪日客)の回復などでホテルなどの再開発が進み、大きく値上がりした。一方で資材高騰の影響を受け、住宅地・商業地ともに多くの地点で上昇率は前年よりも減少している。
札幌市内の調査地点は住宅地が86地点、商業地が41地点。住宅地の1平方メートル当たりの平均価格は10万7500円で、前年より3.6%値上がりした。商業地は59万4900円で、7.6%上昇。住宅地、商業地ともに値下がりした地点はなかった。
■住宅地、地下鉄駅周辺の人気堅調
札幌市の住宅地で上昇率が最も高かったのは「東区北14東5の95の83」で10.2%。次いで「白石区南郷通7南50」の9.3%など。いずれも市営地下鉄駅に近いエリアで、利便性の高さから需要が集まった。一方で3位の「北区西茨戸2の1の1の369」(8.7%)など、上昇率上位10位には北区が7地点入っており、郊外の分譲地も引き合いがあった。
■商業地、訪日客回復し再開発進む
商業地で上昇率が最高だったのは、ホテル進出が相次いでいる中島公園周辺の「中央区南9西3の10の99」で18.9%。次いでJR札幌駅近くの「北区北7西2の6」の17.9%などと続く。新型コロナ禍で落ち込んだインバウンドが回復基調にあり、市内中心部ではホテルや商業施設などの再開発が旺盛に進んでいる。
ただ、建設資材の高騰により、南区の商業地を除く全10区の住宅地、商業地で前年の平均上昇率(住宅地は12.5%、商業地は11.9%)を下回った。今後の動向について北海道不動産鑑定士協会(札幌)の横山幹人理事は「再開発が進む中心部はビジネスや医療、福祉など多くがそろっており、上昇傾向が続くだろう。安さが魅力だった郊外は、路線バスの減便などで利便性が下がっており、横ばいに推移していくのでは」とみる。
( 吉川幸佑 )
2024年9月18日 0:00北海道新聞どうしん電子版より転載