市内の町内会の高齢化や加入率の低迷を受けて札幌市は本年度、町内会と18~34歳の若者を結ぶマッチング事業を試行的に実施する。若者には町内会活動の面白さを感じてもらい、人材不足に悩む町内会には若者のアイデアや力を生かしてもらう狙い。本年度は市が三つの町内会を選ぶほか、若者同士の交流会も開き、将来は全市での事業展開を目指す。
 市によると、1月1日現在、全99万5959世帯のうち町内会加入率は69.2%と平成以降最低となった。市が昨年9~11月、市内の町内会長に実施した調査では役員の年代は70代が最多の55.2%、60代が23.1%、80代以上が1.8%と、60代以上が8割を占める。加入世帯の年代に関する統計はないものの、市は「若い担い手が不足していると聞く」という。
 事業の名称は「マチトモLABO」で、まちづくりのコンサルタント業を手がける札幌の株式会社が市の委託を受けて事務局を務める。
 協力したい18~34歳の市民らは市公式ラインなどから登録する。協力を希望する町内会は必要な人数や内容を、事務局に伝え、事務局が登録した若者に依頼。若者は事務局を通じて参加希望を伝え、町内会の事業に協力する。1回あたり1~2時間で、1回の参加で千円分のクオカードがもらえる。事業予算として本年度260万円が計上された。
 市は、町内会が主催する祭りやごみ拾い、除雪などでの事業実施を想定。9月には豊平区の町内会の祭りで、若者が子ども向けイベントの担い手となる事業を行う。市はほかに二つの町内会を事業対象に選ぶ予定だ。気軽に参加できるよう本年度、若者同士の交流の場も設ける。
 市市民自治推進課は、町内会は防犯や除排雪など地域住民の生活を支えているとした上で「事業を通じ、若者が町内会の将来の担い手になることを目指したい」と話している。

2024年8月23日 23:26(8月23日 23:37更新)北海道新聞どうしん電子版より転載