札幌市は敬老優待乗車証(敬老パス)の市民の利用実態に関する調査結果をまとめた。利用上限額の引き下げやポイント制導入など、市が移行方針を示している新制度について、多くの人が利用できるために必要な対策を尋ねた設問(複数回答可)で、「仕組みが単純であること」を選んだ利用対象者が5割以上で最多だった。利用可能額が減った場合の公共交通機関の利用頻度については、「減る」「どちらかといえば減る」を合わせた回答が過半数を占めた。

 調査は昨年12月から今年1月に実施。敬老パス利用対象の70歳以上と、利用対象外の18~69歳の各5千人に調査票を郵送し、70歳以上の2382人、18~69歳の1492人から回答を得た。調査は2018年度以来10回目で、新制度への移行方針を表明後は初めてとなる。

新制度では利用上限額を7万円から2万円に引き下げ、歩行などに応じポイントを付与する。新制度を多くの人が利用するために必要なこととして、「仕組みが単純である」と答えた70歳以上は55.2%、ポイント付与の取り組みに関連し「身体状況などで活動が難しい市民も参加できる配慮がある」が27.2%、「サポート体制が整備されている」が24.1%と続いた。
 18~69歳でも「仕組みが単純である」が76.2%と最多で、「サポート体制が整備されている」が43.6%、「身体状況などで活動が難しい市民も参加できる配慮がある」が40.4%と続いた。
■上限額引き下げで「利用減る」過半数
 敬老パスを持つ70歳以上のうち、利用可能額が減ると公共交通機関の利用頻度が「減ると思う」または「どちらかといえば減ると思う」との回答が合わせて55.8%に上った。「変わらないと思う」は33.8%だった。敬老パスがあるため「外出が増えている」との回答は49.3%でほぼ半数を占めた。

22年度の利用額は1万円未満が40.9%で最も多く、1万円以上2万円未満が16.3%、2万円以上3万円未満が11.6%と続いた。上限の7万円は6.3%だった。
 新制度案に対する自由記述では「現行制度からの変更点が分かりにくい」(50代、手稲区)、「上限2万円では外出回数が減る」(80代、豊平区)など疑問や反対の声も寄せられた。
 市保健福祉局は「調査結果や意見を新制度にどう反映できるか、今後も検討を重ねる」としている。

2024年7月29日 22:22(7月29日 23:36更新)北海道新聞どうしん電子版より転載