札幌市東区を流れる丘珠2号川で、健康への影響が指摘される有機フッ素化合物(PFAS)が、国の河川や水道水の暫定目標値を超えている可能性が高いことが23日、分かった。丘珠空港周辺の川では2010年にも高濃度のPFASが検出された経緯があることから、北海道新聞が今月中旬に採水し、専門機関に検査を依頼。暫定目標値の1リットル当たり計50ナノグラム(ナノは10億分の1)を上回る同84ナノグラムを検出した。


 丘珠2号川では、市衛生研究所が09~10年にPFASの調査を実施し、その一種であるPFOSとPFOAを同1559ナノグラム検出。同川に流れ込む空港の排水からは同1万8480ナノグラムを検出した。同研究所は汚染源を空港内と推定した。
 国は20年、PFOSとPFOAの合計の暫定目標値を設定し、目標値を超えた場合に「暴露防止の取り組みを実施するのが望ましい」などとする手引きを作成。自治体に周知したが、札幌市は20年以降も再調査せず、対策を取っていない。下流に浄水場はなく、水道水としては使用されていないことなどから、市環境対策課は「丘珠2号川の再調査は考えていない」としている。
 今回調査したのは丘珠空港の北側で、丘珠川との合流地点から約140メートル上流。今月16日に採水し、自治体からPFASを含む水質検査を受託する北海道薬剤師会公衆衛生検査センター(札幌)に分析を依頼した。
 札幌市は23年度に市内の河川16カ所でPFASの調査を始めたものの、丘珠2号川やその周辺は調査地点から外している。市環境対策課は「重金属などほかの要監視項目と同様の場所で測定した」と説明している。
 PFASを巡っては、全国各地の河川や水道水で暫定目標値を超える値が検出されて問題となっている。道は今月、胆振管内安平町内の安平川で同95ナノグラムが検出されたと公表し、原因の調査を続けている。
<ことば>有機フッ素化合物(PFAS) フライパンのコーティングや泡消火剤などに幅広く使われていた。1万種類以上あり、国内では代表的なPFOAとPFOSが2021年までに輸入や製造が原則禁止された。分解されにくいため「永遠の化学物質」と呼ばれる。発がん性や出生時の子供の体重低下など人体への悪影響が指摘されている。

2024年7月23日 22:07(7月24日 6:51更新)北海道新聞どうしん電子版より転載