帯広署管内で、高額の詐欺被害が止まらない。新たに主流となった「SNS型投資・ロマンス詐欺」などが増え、消費者金融から借り入れて被害額が膨らむ例もみられる。同署は「全世代が詐欺の標的。それぞれの手口を把握して自衛をしてほしい」と呼びかけている。
■「手口知り自分守って」
 同署が今年1~6月に発表した同署管内の詐欺被害は、16件計1億6800万円。同署管内は昨年1年間の被害額が計2億3500万円と際立っていたが、今年は昨年を上回るペースで増えている。
 目立つのがSNSを介した投資詐欺やロマンス詐欺。同署の佐藤寿哉刑事2課長は「投資や恋愛に関心があるほど被害に遭いやすい手口。現役世代もターゲットになる」と指摘する。
 SNS型投資詐欺の入り口はインターネット広告だ。広告にアクセスすると投資情報を交換するSNSグループに招待される。指南役の指示に従い、偽の投資アプリをダウンロードし運用資金を振り込むと、アプリ上で即座に利益が表示されもうかると思わされ、短期間で多額の被害につながる。利益を引き出そうとすると、執拗(しつよう)に手数料など求められるのも特徴という。
 SNS型ロマンス詐欺はマッチングアプリで出会った外国人を装う人物に騙されることが多い。「2人の未来のために」と投資に誘うほか、軍人を装い「敵に捕虜にされた」などと劇的な恋愛に見せかけて金を要求。発覚まで時間がかかり金額が膨れ上がる傾向にある。
 同署は高額被害額につながる、別の要因として借金やネットバンキングを挙げる。
 偽アプリ上で数百万円の利益が出ているように見せられることから、借金をしてまで振り込んでしまう。また、同署管内の被害者の約3割がネットバンキングを使用していたといい、振り込み上限が窓口などより高く、外出せずに振り込めるため、他者による被害覚知が困難だという。
 佐藤課長は、万一に備え「一つ一つ手口を把握し、見知らぬ人からの金の要求には応じないことが大切」と呼びかける。

詐欺被害拡大を防ぐため、チラシなどを配り住民に注意を呼びかける帯広署員=10日、札内川ゴルフ場

2024年7月18日 21:18北海道新聞どうしん電子版より転載